兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 災害気象・気候学研究室
Meteorology and Climatology for Disaster prevension Lab.,
Graduate School of Disaster Resilience and Governance,
University of Hyogo
研究内容
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気象データの社会実装の一つとして, 過去の種々の気象データを利用し
て防災教育・防災対策に資するための災害データベースの構築を試みています.
歴史災害の見える化の試みの一つです(長岡技術科学大学熊倉先生との共同研究).
土砂災害等の災害をもたらす可能性のある気象時における国道の通行止
めに要する時間を短縮する目的のため, 通行止めの発令・解除の基準と
なる雨量について, 対象道路区間の緻密な現場観測を行いました(2016-2018).
それら現場観測雨量と, レーダーアメダス雨量, アメダス雨量, 対象区間に設置され
たテレメータ雨量を用いて相互比較を行い検討しました(神戸市立工業高等専門学校の鳥居
教授を代表とする, 国土交通省近畿地方整備局, 民間企業, 大学との産学官連携共同研究:
熱帯域季節内振動(MJO)は, 台風/サイクロンの発生や中緯度大気へ
のテレコネクションを通して, 直接/間接的に日本域の天候に影響を与
えており, MJO の予測可能性の向上は日本を含む中緯度大気の予報精度
向上に資すると考えられています.
本研究では, 数値モデルの高解像度化が MJO の再現性に与える影響に
ついての基本的な理解を得るため, 全球非静力学モデル等を用いて地球シ
ミュレーター等のスーパーコンピューター上で数値実験を行い, 地球全
体を水で覆う非常に単純化した水惑星条件下での熱帯域の降水活動の振
舞いについて調べています.
日米欧の共同研究として,米国オークリッジ研究所のスーパーコンピュー
タ上で「海洋研究開発機構と東京大学気候システム研究センターが共同
で開発した全球非静力学モデル(NICAM)」と「欧州中期予報研究センター
の気象予測モデル(IFS)」を用いて世界で初めて数 km の解像度で 7 年
分の夏季のシミュレーションを実施し, 熱帯域季節内振動と台風の発生
の関係について統計的に調べました(
海洋研究開発機構が2010年に実施した赤道域の大規模気象観測キャンペーン
(PALAU2010)において, 観測対象となる熱帯域季節内振動や台風の予兆を捉える
目的のため,
リアルタイム予報システムを全球非静力学モデル(NICAM)を
用いて構築し, 2ヶ月にわたり毎日予報計算を実施しました.
予報結果は, 左図のようなブラウザ上で閲覧できる形でリアルタイムで観
測現場(陸上, 海上, 航空機)に提供され,
観測計画の策定に役立てられました
(
全球非静力学モデル(NICAM)と地球シミュレーターを用いて,2008年4月にミャン
マーに甚大な災害をもたらしたサイクロンのアンサンブルシミュレーションを実
施し, サイクロンの予測可能性やサイクロンの発生と熱帯域季節内振動
やモンスーンオンセットとの関係などの発生要因を検討しました
(
海洋研究開発機構と東京大学気候システム研究センター(現, 東京大学大
気海洋研究所)が共同で開発した全球非静力学モデル
(NICAM,
気象庁の現業1ヶ月アンサンブル予報システムにおいて改良した初期摂動作成スキーム
(BGM 法)を用いて, 熱帯域における季節内振動(MJO)の予測可能性
を調査しました.
最も成長する初期摂動の成長率は, MJO の振幅に対してはほぼ独立であ
る一方で, MJO に伴う対流活発域がインド洋や西部太平洋にある
ときには有意に小さくなること,
この成長率は, 北半球冬季と比べて北半球夏季に有意に大きくなること
などを明らかにしました(投稿準備中).
赤道β平面浅水系の線形シアー流中に生じる不安定モードを固有値計算によって求め,
中立波の共鳴の観点から物理的解釈を行いました.
その結果, 基本場の南北シアーが小さい場合に発生する東西非対称な最
大不安定モード(赤道ケルビン波と西進混合ロスビー重力波との共鳴で
発生)は,
南北シアーが大きい場合に発生するいわゆる慣性不安定モードと同種の
不安定モードであることを示しました
(