0. 動機 - 自分の興味 - 太陽系内の惑星だけ見ても, 惑星の気候は多様性に富む - 惑星の気候状態はどうのように決定され, 維持されているのか? - 惑星の気候状態の決定において, 大気・海洋大循環の役割は? - 水惑星実験を通した気候システムの理解をテーマとする, 複雑なモデルを用いた 近年の研究を紹介してきた. (Smith et al, Marshall et al, Enderton et al)を紹介した. - 今回の論文紹介の動機 - 本質的には, 惑星の気候状態の多様性は, 惑星パラメータや外部強制が異なるから - 一方で, パラメータが同じも異なる気候状態を実現し得ることも 古くから知られている(気候の多重平衡状態) - 興味 - 現在地球の気候状態は形態以外もあり得るのか? そもそも, なぜ今のような 気候状態が実現されているのか? - 同じ条件下で複数の気候状態を取り得るとき, 大気・海洋大循環, 南北熱輸送はどのように異なるのか? - 複雑なモデルを用いた, 気候の多重平衡計算の近年の研究を紹介する. -------------------- 1. イントロダクション * 多重平衡状態とは - 例: 気候状態の太陽定数依存性で見られる多重平衡解 * 気候研究のメインテーマは, 多重平衡の有無である. - Lorentz(1968, 1970) - 気候の支配方程式系が「自動的(初期条件に関わらず系は同じ状態を示す」あるいは 「他動的(初期条件に依存して統計的状態が異なる」かを議論. * 気候システムの複雑なモデルにおける多重平衡の存在は, 古気候の記録の解釈や将来気候の予測に 衝撃を与えるだろう. * 古気候の記録が示すこと * 様々な気候状態 - 全球凍結状態 - 新原生代(730 - 640 Ma) - 温室状態(氷無し) - 白亜紀 (145 - 66 Ma) - 部分凍結状態 - 極域に氷冠をもつ現在の気候 * 気候の突然の変化 - 氷河期から過去 2 Ma 間の氷河後退期の間の気候変化 - 多重平衡状態が役割を担う. - 外部強制パラメータがゆっくりと変化し, "tipping points"を超えるとき, 突然他の気候状態へと遷移しても良い. * 人為的な温室効果ガスによる全球的な気候変動の文脈における気候の多重平衡   - ゆっくりとした変化の応答として急激な気候シフトの可能性は深刻にとらえるべきである. - 大気の温室効果ガスが減っても, 気候はもとの状態に戻るとは限らない(ヒステリシス). * 多重平衡やヒステリシスを示す簡潔なモデルの研究 * 二つの重要な概念が定式化された - 熱塩循環(or 子午面循環) - [@] ある条件化で MOC は 2 つの安定状態がある(Stomel, 1961). - [@] 激しい循環を伴う thermal モード, 弱い循環を伴う haline モード - [@] 古気候の記録と関係があるため, 関心が向けられた. - [@] 後の研究で, 熱塩循環の変動が気候に大きな影響を与える(例: 最終氷期の急激な温暖化) ことが分かってきた. - 氷アルベドフィードバック - 本研究の多重平衡は, 氷アルベドフィードバックと関わりがある. - 氷アルベドフィードバックを考慮した古典的なエネルギーバランスモデル(Budyko, Sellers) - 南北熱輸送 + 局所的な放射過程を取り扱う. - 非線形な氷アルベドフィードバックの表現を与える. - 三種類の安定平衡解(全球凍結, 部分凍結, 氷無し解)が存在する - 各安定平衡解の間には, 不安定平衡解が存在(大氷冠不安定と小氷冠不安定) * 古典的な EBM の拡張 * Rose and Marshall(200) の EBM - 2つの重要な過程を追加 - i) 氷冠の末端で極小を持つ海洋南北熱輸送の構造 - ii) 海氷による海洋の遮蔽効果 - 中緯度まで広がる巨大で安定な氷冠を維持できる. - 海洋の熱輸送の表現が簡素な古典的な EBM では, 安定な巨大氷冠状態は現れない. * [@] 注意点 - [@] 自由度の少ない簡単モデルで見られる多重平衡の特性を, 自由度の多い複雑なモデルや現実の気候に 外挿するときには注意が必要. - [@] AGCM の内部的変動が表現するノイズの付加により, EBM の安定解が不安定に変わる(Lee and North, 1995) => [@] 複雑な結合気候モデルにおいて, 多重安定解の存在は確証されるべきではない. * 複雑なモデルによる多重平衡の研究 * GCM を使った "水まき" 実験による MOC の多重状態の発見 - [@] "水まき": 北大西洋に淡水フラックスの摂動を与えて熱塩循環を一度壊す. 摂動が消えた後にもとの状態に戻るか? - [@] 典型的には戻らない. - 大気海洋氷結合モデルによる検証(Manabe and Stouffer, 1988) - [@] ただし, 海面塩分のフラックス調整あり, 海洋の解の収束の加速化, 低解像度, 雲量指定. - [@] 結果は, robust か? - 海洋のみのモデル(Rahmstorf, 1995;等), 中程度の複雑さをもつ地球システム結合モデルを使った相互比較(Rahmsorf et al, 2005) - 過去の複雑なモデルを使った研究の制約 - 淡水/熱/運動量のフラックス調整の使用 - 結合気候モデルの保存則が破綻 - 大気-海洋間のフラックスは海洋や大気の力学的輸送と不整合. - 2) 大気モデルの簡単化(EBM, 東西平均, 統計モデル) - 結合モデルを低次の系にする. - 結合モデルの内部変動の活性化を抑制する. - 大気の渦が生じないために, 南北輸送や地上風のパラメータ化が必要 - 大気海洋のカップリングの ad hoc な選択が必要(降水の東西方向への再分配など) * GCM を使った氷アルベドフィードバックによる多重状態の研究 - 数少ない. - Langen and Alexeev(2004) - 安定な氷冠をもつ, 多重平衡状態を得た - [@] AGCM + 海洋混合層モデル+ 熱力学海氷モデル - ただし, 海洋熱輸送を指定, 太陽強制の季節サイクルを無視 - 不安定を起こす変動性の源に欠く. - Marotzke and Bozet(2007) - ほぼ氷無し状態のそばにある多重平衡状態として, 全球凍結状態を得た. - [@] 最先端の結合 GCM - ただし, 海氷の厚さの成長を 8 m に制限することによって, 人為的に達成された. - [@] 全ての水が "暴走"氷結するのを妨げる - 巨大だが有限な氷冠をもつ中間的な安定状態の有無は依然として明らかでない. - 海洋熱輸送の収束は, 海氷の拡大を制限する上で重要な役割を果たす証拠はある - [@] 現代気候の観測(Bitz et al.,2005), 全球凍結の機構のモデリング(Poilsen et al., 2001) * Ferreira et al. (2011) の概要 - 複雑な結合大気海洋氷結合モデルが, RM09 の EBM の解と類似した, 3 つの多重平衡状態を持つことを報告 - 設定する系 - 純粋な水惑星(Aqua)と細長い陸をもつ水惑星(Ridge) - 得られた多重平衡解 - 3 種類の安定平衡解: 温暖な気候(氷無し), 寒冷な気候(50 度付近まで氷冠進出), 全球凍結 - Ferrieira et al.(2011) の強調する点 - 大気・海洋両方の三次元の力学を含む - 人為的な強制 or フッラクス調整に依らない - 全ての解は平衡状態に至るまで積分されている. - 主な結果 - 力学的に一貫性のある, 複雑な結合気候大循環モデル(強い内部的変動性や季節サイクルを含む)は, 多重平衡状態を実現できる. - 氷無し状態と全球凍結状態に加えて, 巨大だが有限な氷冠をもつ 3 番目の平衡状態が許容される. 2. 結合 GCM の記述 * 用いたモデル - MITgcm(Marshall et al. 1997a,b) - 格子系 - 立方球面格子 - 大気モデル・海洋モデルともに共通 - 水平解像度: C24(~ 3.75 度間隔) - 大気モデル - SPEEDY(Simplyfied Parameterizations, Primitve-Equation Dynamics) (Molteni, 2003) - プリミティブ方程式(p 系) - 4 バンド放射スキーム(長波) - 赤外スペクトル(5~50 μm)を 4 分割. - 大気の窓領域, 水蒸気・二酸化炭素による吸収を表現. - 湿潤対流調節 - 雲量と雲の厚さの診断 - 対流圏内の鉛直コラム中の相対湿度と比湿から求める - 境界層スキーム - [@] 鉛直解像度: 5 レベル(配置: 惑星境界層 1 点, 対流圏 3 点, 成層圏 1 点) - 海洋モデル - ブジネスク方程式, z* 系(Adcroft and Campin, 2004) - 非線形の状態方程式(Jacket and McDougall, 1995) - 物理過程 - 等密度面混合(Redi, 1982), メソスケール渦のパラメータ化(Gent and McWilliams, 1990) - 輸送係数: 1200 [m2.s-1] - 対流調節(局所的に鉛直混合を強化) (Klinger et al., 1996) - 背景の鉛直混合: 3 x 10-5 [m2.s-1] - 水深 3km, 海底地形なし - 鉛直解像度: 15 レベル(間隔: 海面 30m - 深部 400m) - 海氷モデル - 2.5 層熱力学モデル(Winton, 2000) - [@] 予報変数: 氷分率, 雪・氷の厚さ, 2 層のエンタルピー - [@] ブラインポケット, 海氷の塩分を考慮. エネルギー保存. - 海氷の力学は無視 - [@] ただし, 海氷の厚さを拡散させる. - その他 - 雪のアルベドのパラメータリゼーション - アルベドの値は, 雪の厚さ, 地表面温度, 雪の年齢に依存. - 大気の CO2 量は, 現在の地球の値 - 季節サイクルあり(自転傾斜角: 23.4 度, 離心率: ゼロ), 日サイクルはなし. - 運動量/淡水/塩分フラックスは, 1 時間ごとに交換される. - 海氷の厚さに対する人為的制限は不要: z* 座標のおかげ. - 海氷と海洋の境界の現実的な取り扱いが可能 3. 多重平衡状態の記述 * パラメータの値の設定. - Aqua, Ridge のそれぞれの設定において, 全ての多重平衡計算に対して全く同じ値の外部強制パラメーター(入射太陽放射量, CO2 量) を与える. - Table 1. - 得られた解は, 完全に平衡状態にある(大きな変動性に関わらず, ドリフトの傾向は見られない). - Fig 2. - 統計的平衡状態の達成後の, 海洋の全球平均温度は 4100 yr の間 1 度以内. とても長い時間スケールの変動性が見られる. * [@] お断り - [@] Ridge, Aqua 両方に全球凍結状態が現れるが, ここでは焦点を当てない(See Appendix C) - [@] ここでは, 暖かい気候(ほぼ凍りなし状態)と寒い気候(中緯度まで氷冠が進出)について, 言及する. - [@] 示す結果の図は, 40 年間平均した値の図である. * a. 大気の状態 * Fig3. 時間・東西平均した東西風, 温位(Ridge (for cold and climate states)) - Aqua の結果は, ほぼ同じなので省略 - 東西風: warm と cold でよく似たパターンと大きさを持つ - 熱帯: 貿易風, 40 度を中心とする西風, 50 度より極側で東風 - 温度構造: warm と cold で良く似ている - 熱帯で水平方向に平らな温度分布, 中・高緯度に広い傾圧帯(西風と温度風バランスにある) - warm と cold 間の差 - cold の方が, ジェット流がわずかに広い, 極域の東風がわずかに弱い, 貿易風がわずかに強い. - 海氷の存在が原因(?) - 下層の強い南北温度勾配を生み, 傾圧帯を強め極側に広げる. - cold の方が低気圧に依る渦熱輸送 bar(v'T') が卓越する領域の南北幅が広く, 振幅が大きい. - 大気の熱輸送に寄与(Fig. 6 にて, cold と warm 間で中緯度域の熱輸送を比較) - cold の方が対流圏上層の南北温度差が小さい. - 熱帯の成層が cold の方が弱い(cold 6.4 K/km, warm 5.3 K/km) - この傾向は, 下層の強い南北温度勾配を和らげる - 結果, warm の方が上層の西風が強い(直感に反するが..) * b. 海洋の状態 * Fig5. 時間・東西平均した温度と残差平均子午面循環 - 温度構造 - 亜熱帯域の温度躍層 - "へこみ(bluge)"の形状について - 風応力のパターンを反映している. - エクマン層による, 緯度 25 度付近の暖水のパンピングと緯度 50 度付近の冷水の吸い上げによる. - 温度躍層の深さ - Ridge: 浅い, Aqua: 深い - 力学の違いによる. - Ridge: (岸があるので)圧力の東西勾配ゆえに地衡流的な南北流を許容する - 特徴: スベルドラップ平衡にある内部領域と西岸境界流をもつ環流が発達. 東西非対称. - Aqua: 東西方向の応力は, 海面摩擦および渦応力とでバランスされる. - 南極周回流の力学と類似 - 高緯度域の温度構造 - 高緯度域の温度躍層: Warm: あり, Cold: なし - Warm の極域は東風であるため. 淡水を海面からパンピングする. - Cold は, 50 度より極側は海氷に閉ざされている - Warm: 安定成層, Cold: 温度一様(-1.9 度) - warm は cold に比べ, 深部の温度が非常に高い(Ridge 7 度, Aqua 15 度) * 深い対流の起きる場所は? - 全ての解で 50-55 度の周りにある亜熱帯温度躍層の極側の端で, 海底と海面の海水温が近くなる. - Aqua の場合は直感的. - 50 度付近でエクマン吸い上げにより当密度面が持ち上がり, 表層で成層が弱まる. - Ridge の場合 - 緯度 60-80 度の間で深い対流が起きる. - その周囲は, 亜寒帯環流により表層の海水は暖かい. - 深層の海水温が, 海面の最も低い海水温と対応しない!?. むしろやや高い. * 循環構造(残差平均子午面循環) - 亜熱帯風成循環セルにより卓越される. - Aqua では, 海洋内部域で循環が準断熱的であることが明らかに見られる(Marshall and Radko, 2003). - Ridge では, 東西非対称性のために, それは当てはまらない. - cold と warm の間でパターンや強度にあまり違いは無い. - 例外: Ridge の高緯度域のセル. cold: なし(海氷のため). warm: あり(深い対流と深層水の形成のため) * 南北熱輸送 - Fig 6 - 海洋の熱輸送 - 20 度で極大. 低緯度の全熱輸送に寄与. - 高緯度では小さい. - Rigdge の warm では, 小さいが重要な, 50 度に極向きの寄与がある. - 亜寒帯環流と高緯度域の深い対流による - 大気の熱輸送 - 海洋と比べ, 滑らかで惑星スケールの構造を持つ. 45 度で極大. * warm と cold 間の違い - 海洋の熱輸送(~ 流線関数のスケール x 海面と海底の温位差)の違い - warm から cold の解へ移ると 亜熱帯では大きく増加し, 高緯度では弱まる. - 原因 - 深層水塊の強い冷却と(効果はより小さいが)循環の強化 - 温度躍層の深い Aqua では, この効果はより強い. - 海氷の遮蔽効果 - 大気の熱輸送 - warm から cold の解へ移ると, 極大値が増加する - 低気圧の強力化と整合的 - 海洋の熱輸送ほどではない - 全熱輸送 - 広い緯度帯で増加する. - 海洋・大気循環の詳細には鋭敏でなく(Ridge と Aqua の比較), 主にアルベドに依存している. * cold と warm の間の大気上端のアルベド(惑星アルベド)の差 - Fig 7: 地表面アルベドの差, 雲の放射特性に依る差, 雲でない放射特性の差による寄与に分解 - 海氷の被覆の拡大により, 40度より極側で大幅に増加. (55 度で 0.28 のピーク) - 氷冠のある緯度帯平均では, 約 0.21 の惑星アルベドの差 - Gorodetskaya et al.(2006) と整合的 - 観測から惑星アルベドに対する海氷の影響を推定 - 氷無しから氷あり条件へ移ると, 北半球で 0.25, 南半球で 0.16 増加 - 惑星アルベドに対する地表面アルベドの寄与がはるかに大きい. - 実際の地表面アルベドの変化は, この差の約 2 倍であることに注意 - 雲量や他の大気放射の条件の詳細に関わらず, 大気の不透明度が地表面アルベドの変化を弱める. - 雲の放射特性の寄与はほぼどこでも負 - 乾燥した気候の cold では, 雲量が減少 - 雲でない放射特性の寄与はほぼどこでも正 - 乾燥した気候の cold では, 快晴大気の吸収の減少 - 上 2 つの寄与は小さいが無視できない. しかし, 互いに打ち消し合う傾向にある. - 結果, 地表面アルベドの寄与が残り, 最低次では惑星アルベドは 1/2 倍した地表面アルベドの 差のように見える. - ただし, 40S-40N は地表面アルベドの変化は無いので, 雲の寄与が卓越し, 惑星アルベドは少し減少する. * 高緯度域での cold と warm の差 - 雲量の季節サイクルを見ると明らかになる. - warm では, 高緯度の雲量は高く, 相対的に年中一定(~ 85%) - cold では, 季節サイクルあり, 夏季は warm と同程度だが, 冬季は 35 %. - warm は, 極夜の間 cold と相対的に雲量が多い. - 冬季の極域の海洋の放射冷却を和らげる. - このモデルでは, 雲は高緯度の温度変化に対して正のフィードバックに寄与する. - この効果は, 氷アルベドフィードバックに補助的だが, 冬季(すなわち極夜)間しか起こらない. - "高緯度域の対流性の雲のフィードバック"は, 本モデルでは働かない. - 極域の雲は非対流性. * 結合システムの変動性 - 結合システムの平均状態には, 全ての時間スケールでかなりの内部変動性が見受けられる. - 示した多重平衡状態は, 結合システムの強い内部変動性の中で維持するのに十分なほど安定である. - 最も強い摂動は, 季節時間スケールで起きる. - Fig.8: 北半球の氷冠の被覆の季節変化, 経年変化 - 季節変化 - 1 月最大, 9 月最小 - Ridge 14x10^6 km2, Aqua: 7x10^6 km (年平均被覆面積の 20%, 10 % にあたる) - 東西平均した北半球の海氷率 - 海氷の地理的な変化を示唆 - 氷冠末端は実際には広範(一月に最大. 5 度-10度の緯度幅で, 0-100% まで変化する) - 冬季の海氷は完全に覆い尽くす時間がない. - Ridge の場合には, そもそも東西非対称 - 年平均した海氷面積の偏差(500 年間) - 2x10^6 km2 (年平均の 3 %)の変動を繰り返す. - ときどき, 10 年以上継続する. また, 3x10^6 km2 超のエクスカーションもときどきあり. - Aqua の時間スケールは振る舞いが規則的. 40 yr 周期. - Ridge はランダムな振る舞い. 赤色ノイズ的なスペクトル. * まとめ - Fig 9. 多重平衡状態の重要な特徴の概念図 - 海洋の温度躍層, 残差循環, 海洋の熱輸送, 各平衡状態における氷冠の範囲を示す - 緯度 50 度は, 亜熱帯温度躍層の極側の末端に対応する(風のパターンで決められる) - 亜熱帯温度躍層の"ふくらみ"はエクマンパンピンの結果. - 亜熱帯温度躍層の極側では, 海洋の熱輸送はほとんどなくなる. - 熱は温度躍層の極側の末端で捨てられる. 氷冠の末端の平均的位置に対応. - 亜熱帯温度躍層の極側の末端における海洋の熱輸送の収束が, 赤道への海氷の拡大を制限する. - 巨大な氷冠をもつ安定平衡解を導く - Aqua と Ridge の地理的制約の差による海洋力学の大きな差にも関わらず, 風成亜熱帯セルが海洋の熱輸送を卓越する. - 結果, すべての場合で, 中緯度で海洋の熱輸送が収束する. - cold と warm state の間の海洋の熱輸送の違いが二番目に重要と思われる.