man ms(7)

ms(7)

Date: 1998/5/30
Source: TOYODA Eizi

名前

ms - テキストのための htroff マクロパッケージ

書式

htroff -ms [ options ] filename ...

説明

ms はさまざまな文書や論文のための htroff(1) マクロパッケージです。

多くの htroff リクエストは -ms のマクロとともに使ってはなりません。 しかし以下のリクエストは初期化の後では (.ls.na は初期化の前でも) 安全に使うことができます:

.bp
改ページ
.br
改行
.sp n
n 行の空行を挿入
.ce n
以下の n 行をセンタリング
.ls n
[htroff では未実装] 行間の指定: n=1 が通常の行間、 n=2 がダブルスペースを指示する
.na
[htroff では未実装] 右端揃えの停止

エスケープシーケンスのうち \f \s を使っても問題はありません。 たとえば \fIword\fRword を斜体にするものです。

リクエスト

.AB x
摘要 (アブストラクト) をはじめます。 もし xno ならば、 アブストラクトの先頭に Abstract という見出しを立てません。
.AE
ブストラクトの終わり。
.AI
著者の所属。
.AM
[未実装] アクセント記号のための文字列レジスタの定義を、 効率は劣るがより見栄えのするものに変更します。
.AU
著者の名前。 著者が複数いる場合は任意個の .AU.AI を並べる ことができます。
.B [ x ]
x 太字 にします。 もし x が指定されない場合は段落末までのテキストをすべて太字にします。
.B1
以下 .B2 までのテキストを枠に入れます。
.B2
枠で囲む領域を終了します。
.BX x
x を枠に入れて印字します。
.CT
章のタイトル。 このマクロは .TM で論文モードを選択したときだけ使えます。
.DA x
ページフッタの中央に日付 x を出力します。 x が与えられない場合は htroff を起動した日付を出力します。
.DE
ディスプレイを終了します。
.DS x y
ディスプレイ (行の追い込みを行わない領域) とともに キープ (全体を1ページに納めようとする領域) を開始します。 文字 x には ILCB のいずれかを与えます、これらはそれぞれ .ID, .LD, .CD, .BD に対応します。 x が与えられない場合はインデント付きブロックとみなされます。 y は本来インデント幅を与えるものですが、無視されます。
.ID y
インデントされたディスプレイを始めます。 y は本来インデント幅を与えるものですが、無視されます。
.LD
左寄せされたディスプレイを始めます。
.CD
各行ごとに中央寄せされたディスプレイを始めます。
.BD
ブロックディスプレイ (全体で中央寄せされたディスプレイ) を始めます。
.EF x
偶数ページのためのフッタ定義。 x には UNIX roff の .tl リクエストのための ' で区切られた 3つの文字列を与えます。
.EH x
偶数ページのためのヘッダ定義。 x には UNIX roff の .tl リクエストのための ' で区切られた 3つの文字列を与えます。
.EN
数式用ディスプレイを終了します。
.EQ x y
数式用ディスプレイを始めます。 文字 x には LIC のいずれかを与えます。 これらはそれぞれ左寄せ、インデント、中央寄せに対応します。 y は数式番号となります。
.FE
脚注段落を終えます。
.FP
脚注段落の先頭で .FS から呼ばれるマクロです。 これを再定義することによって脚注の付け方を変更することができます。
.FS
脚注段落を始めます。
.HD
このマクロを定義しておくと ヘッダマージンの下にヘッダを追加することができます。
.I x
x を斜体で印字します。 もし x が与えられない場合は段落末までのテキストをすべて斜体にします。
.IP x y
ハンギングタグ x 付きのインデントされた段落を始めます。 インデント幅 y の指定は無視されます。
.IX x ...
語たち x (UNIX 版では 5 語まで) を目次に出力すべく保存します。 このとき意味もなく改行がおこります。
.KE
キープ領域を終了します。
.KF
浮動キープを始めます。テキストはページの残りを埋めるように配置されます。
.KS
キープ (一つのページに収まるように収集されるテキスト) を始めます。
.LG
文字を大きくします。
.LP
左寄せ (ブロック) 段落をはじめます。リセットが起こります。
.MC [ x ]
多段組の組版を始めます。 x にはカラムの幅を指定します。 省略すると2段組となります。 リセットが起こります。
.ND x
ページフッタに日付をいれないよう指示します。 x は表紙にのせる日付です。
.NH x y ...
番号付き節見出し。 x がレベルを与えます。 たとえば .NH 2 はレベル2の節見出し ( 1.1 からはじまる) をつけます。 x 0 の場合は番号のリセットが起こります。 x S の場合は第二引数以降を節番号にセットします。 たとえば .NH S 3 4 1 3.4.1 節の見出しをつけます。
.NL
文字の大きさを標準に戻します。
.OF x
奇数ページのためのフッタ定義。 x には UNIX roff の .tl リクエストのための ' で区切られた 3つの文字列を与えます。
.OH x
奇数ページのためのヘッダ定義。 x には UNIX roff の .tl リクエストのための ' で区切られた 3つの文字列を与えます。
.P1
第1ページにもヘッダを表示することを指示します。 htroff では何の効果もありません。
.PP
最初の行がインデントされた段落を始めます。 man(7) とは異なり、 .LP と全く同じものではありません。
.PX [no]
Table of Contents の題字を印字 ( 引数 no を指定した場合は抑止されます) した後に目次を印字します。
.QP
引用段落 (インデントされることが期待されます)
.R
.B または .I によって段落末までフォントを変えた効果を打ち消して、 以下のテキストをローマン体 (斜体でも太字でもないという意味) に戻します。
.RE
相対インデントの終わり。
.RP
発表された論文の形式。 文頭に .RP を入れるとタイトルページを表示するようになります。 .RP 0 を入れるとタイトルページの次の第1ページに題目を表示しなくなります (本当か?)。
.RS
右シフト。相対的にインデントされた領域を始めます。
.SH
セクションの題 (次の行) を太字で印字します。
.SM
文字を小さくします。
.TA
タブ位置を標準値に設定します。
.TC [no]
このリクエストを文書の末尾に置くと、目次を印字します。 引数 no を指定すると Table of Contents を印字しません。
.TE
tbl で処理した表の終わり。
.TH
表のマルチページヘッダの終わり。
.TM
カリフォルニア大学バークレイ校の論文モード。
.TS [H]
tbl で処理する表のはじめ。 もし引数 H を指定するとマルチページヘッダ (.TH まで) があることになります。
.UL x
x をアンダーライン付きで印字します。 アンダーラインと斜体の区別は nroff では失われることに注意してください。
.UX
UNIX というテキストに展開されます。
.XP
1行目以外をインデントした段落を始めます。
.1C
多段組または2段組の設定を打ち消し、 以下のテキストを1段組にします。
.2C
以下のテキストを2段組にします。
.]-
refer による参照をはじめます。
.[n
参照の終わり。 0: 分類不能、 1: 論文、 2: 書籍、 3: 本の中の論文、 4: リポート。

定義済みレジスタ

数値レジスタ

変更は
.nr FF 1
のようにして行います。
FF
脚注の形式。 デフォルトは FF = 0 で、脚注番号を上付き数字で表わします。 FF = 1 では数字を <SUP> で囲むのが抑止されます。 FF = 2 では数字を <SUP> で囲むのが抑止され、 さらに脚注段落の1行目がインデントされないようになります。 FF = 3 では .IP のような脚注段落が本文に埋め込まれます。

文字列レジスタ

\*Q
二重引用符開き (現バージョンでは単に " を出力します)
\*U
二重引用符閉じ (現バージョンでは単に " を出力します)
\*-
ダッシュ (em ダッシュ。現バージョンでは -- を出力します)
\*(MO
htroff を起動した月 (英語名)
\*(DY
htroff を起動した日付
\**
脚注番号 (数値レジスタ FF の値によって上付きになることがあります)
\*'
アクサンテギュ、鋭アクセント (文字の前につける)
\*`
アクサングラーブ、重アクセント (文字の前につける)
\*^
アクサンシルコンフレックス、曲アクセント (文字の前につける)
\*,
セディーユ (文字の前につける)
\*:
ウムラウト (文字の前につける)
\*~
チルダ (文字の前につける)

参照

intro(1), htroff(1), std(7)

バグ

このマニュアルの仕様のほとんどはまだ実装されていません。