Debian ではソフトウェアを「Debian パッケージ」という形式で配布・管理しています。
ファイル名が .deb で終るファイルがそれです。
Debian パッケージを管理するコマンドが dpkg と apt です。
ネットワークに接続されているならば apt を使うのが良いでしょう。
なお、コマンドラインではなく、対話的に作業を行いたい人のためのフロントエンドとして、
dselect というツールもあります。
パッケージには「依存関係」が存在します。
1つのパッケージが全ての(ソフトウェアの)機能を担うわけではなく、
個々のパッケージが補完しあっているため、
例えば日本語版の Netscape を使うためには、
netscape-base, comunicator-smotif, netscape-ja-resource 等が必要になります。
dpkg や apt はこれらの依存関係が満たされているかどうかもチェックしてくれます。
 
[2.1] dpkg の使い道
dpkg は Debian パッケージをインストールしたり、
インストールされたパッケージを表示したりするために用います。
「Debian パッケージ」を PC のハードディスクに直にダウンロードしてきた場合は、
このコマンドでインストールします。
[2.2] dpkg の使い方
[2.2.1] *.deb ファイルからのインストール
# dpkg -i ファイル名
[2.2.2] 既にインストールされているパッケージの表示
# dpkg -l
※多くのパッケージがインストールされている場合、
一画面に一覧が納まらないことがあります。
その場合は出力をページャーへパイプで渡しましょう。
# dpkg -l | less
特定のパッケージがインストールされているのか調べたいときは
後ろにそのパッケージ名を入れてみましょう。
# dpkg -l パッケージ名
 
[3.1] apt の特徴
apt はその内部で dpkg を利用しています。
apt の特徴はネットワーク経由で Debian
パッケージのインストールを行うことができることです。
Debian パッケージの集積場所(ftp サーバ)の URL をあらかじめ指定していれば、
apt-get コマンド一発で、ダウンロードからインストールまで全自動でやってくれます。
[3.2] apt の設定
[3.2.1] CD-ROM からのパッケージ入手
 apt の設定ファイルは /etc/apt/sources.list です。
今回はパッケージの入手先として CD-ROM を使用したため、
以下のものが /etc/apt/sources.list に書き込まれているはずです。
deb cdrom:[Debian GNU/Linux 2.2 _Potato_ - Unofficial: Tettei selection i386 Binary-1 (20000906)]/ frozen-jp contrib main non-free
deb cdrom:[Debian GNU/Linux 2.2 _Potato_ - Unofficial: Tettei selection i386 Binary-1 (20000906)]/ unstable contrib local main non-US/contrib non-US/main non-US/non-free non-free
他に書いてあるものもありますが、それらは行頭に「 # 」がつくことで無効化してあります。
しかし、パッケージ群は日々更新されているので、
できれば、ネットワークからパッケージを入手することが理想です。
とりあえず、このドキュメントでは DHCP サーバが
立ち上がってから /etc/apt/sources.list を書き換える事にします。
(もちろん基本部分が立ち上がってからすぐに書き換えても構いませんが)
ネットワークからパッケージを入手する方法は
  地球流体電脳倶楽部の Debian ミラーサイト
を用いて説明します。
地球流体電脳倶楽部の Debian ミラーサイトを利用する場合は、
# vi /etc/apt/sources.list
として、以下の行を追加します。ちなみに無効にするには行頭に # を追加します。
(「コメントアウト」と言います。)また、
[3.2.1]で示した2行はコメントアウトしておいてください。
deb http://dennou-h.ees.hokudai.ac.jp/arch-large1/cc-env/Linux/debian/ dists/potato-proposed-updates/ 
deb http://dennou-h.ees.hokudai.ac.jp/arch-large1/cc-env/Linux/debian/ potato main contrib non-free 
deb http://dennou-h.ees.hokudai.ac.jp/arch-large1/cc-env/Linux/debian-jp/ potato-jp main non-free contrib 
deb http://dennou-h.ees.hokudai.ac.jp/arch-large1/cc-env/Linux/debian-non-US/ potato non-US/main non-US/contrib non-US/non-free 
deb http://dennou-h.ees.hokudai.ac.jp/arch-large1/cc-env/Linux/debian-security potato/updates main contrib non-free
  
    | 項目 | 
    意味 | 
  
  
    | deb, deb-src | 
    先頭に付けるおまじない. | 
  
   
    | http:// ... | 
    Debian ディレクトリのあるサイト, 及びそのパス.  | 
  
  
    | potato | 
    
      Debian のディストリビューション名. 
      安定版(stable),開発版(frozen) のように書いても良い.
     | 
  
  
    | main contrib ... | 
    
      利用するパッケージの区分. 
      
        
          | main: | 
          GNU 的にフリーなソフトウェア | 
         
        
          | non-free: | 
          GNU 的にフリーでないソフトウェア | 
         
        
          | contrib: | 
          GNU 的にフリーでないソフトウェアと依存関係にあるソフトウェア | 
         
       
     | 
  
[3.3] apt の使い方
使い方は以下の通りです。
なお、Debian パッケージはバグが発見されるたびにパッケージがバージョンアップされます。
そのため、定期的にパッケージのアップグレードを行うのと良いでしょう。
また「*** というパッケージをインストールしたい(MP3 を再生したい)」といった場合は、
検索をかけて下さい(日本語は検索文字列に入れられません)。
依存関係にあるパッケージも一緒にインストールしてくれます。
[3.3.1] パッケージインストール方法
# apt-get install パッケージ名
[3.3.2] パッケージのアップグレード
# apt-get update 
# apt-get upgrade 
  | 
[3.3.3] パッケージの検索
# apt-cache search 検索文字列
 
[4.1] dselect の特徴
apt のフロントエンドで、インストールするパッケージの依存関係などを表示、それに対する設定が出来る
など、対話的な作業が可能です。
# dselect
というコマンドで dselect の選択画面に入ることができます。 
(一般ユーザー権限でもこのコマンドは有効ですが、インストールなどの作業はできません)
ただし、このツールは
キーの操作などが少々特殊なので、日本語表示できる状態で使用し、
解説をよく読みながら作業した方が初心者には楽です。
<日本語環境構築に関しては
こちら
を参照のこと>
[4.2] dselect のメニュー
上のコマンドを入力すると、メニューが出てきます。
 
   dselect のメニュー 
   
    | 項目(メニュー) |  
    内容 |  
  
 
   
     0. [A]ccess |  
    使用するアクセス方法を選択する。 |  
  
 
   
     1. [U]pdate |  
    可能なら取得可能パッケージ一覧を更新する。 |  
  
 
   
     2. [S]elect |  
    システムにインストールしたいパッケージを選択する。 |  
  
 
   
     3. [I]nstall |  
    要求したパッケージのインストール・更新を行う。 |  
  
 
   
     4. [C]onfig |  
    未設定のパッケージを設定する。 |  
  
 
   
     5. [R]emove |  
    不必要なソフトを削除する |  
  
 
   
     6. [Q]uit |  
    dselect を終了する。 |  
  
 
 
基本的にはこのメニューを上から順に選択していきます。
[4.3]  [A]ccess
 [A]ccess  を選択すると、使用するアクセス方法を聞かれます。
ここでは「 apt 」を選択して
を押してください。
すると、/etc/apt/sources.list の内容が表示され、
「 Do you wish to change (overwrite) it ? [y/N] 」
と聞かれるので、問題が無ければそのまま
を押してください。
[4.4]  [U]pdate
 [U]pdate を選択すると、取得可能なパッケージ一覧を更新します。
これは選択と同時に自動的に行われます。
[4.5]  [S]elect
[4.5.1] キー操作
ここではインストールしたいパッケージを選択しますが、
少しキー操作が特殊です。また、[S]elect にはヘルプ画面
も存在するのでそのキー説明も行います。
 
   [S]elect におけるキー操作(ヘルプ画面編) 
   
    | キー入力 |  
    効果 |  
  
 
   
    スペース |  
    ヘルプ画面からパッケージ一覧画面に移る |  
  
 
   
     ?  |  
    ヘルプ画面のインデックスに戻る |  
  
 
   
    ' . '(ピリオド) |  
    ヘルプページを順次見ていく |  
  
 
   
     i  |  
    「パッケージ一覧の手引き」を見る |  
  
 
   
     k  |  
    「キー操作」を見る |  
  
 
   
     l  |  
    「パッケージ一覧とステータス文字」について見る |  
  
 
   
     d  |  
    「パッケージ一覧のハイライト。情報画面」について見る |  
  
 
 
 
   [S]elect におけるキー操作(パッケージ一覧画面編) 
   
    | キー入力 |  
    効果 |  
  
 
   
     ?  |  
    ヘルプ画面に移る |  
  
 
   
    カーソルキー |  
    カーソルキーの方向へ移動 |  
  
 
   
    Return |  
    終了(依存関係を照合) |  
  
 
   
     X , Esc |  
    中止、変更は破棄する |  
  
 
   
     R  |  
    [S]elect でこのパッケージ一覧画面に入ってきたときの状態に戻す |  
  
 
   
     /  |  
    検索をかける。
       (「 / 」を押したあと、検索文字列を入力して
          Return を押す)
     |  
  
 
   
     \  |  
    検索の次の候補を探す |  
  
 
   
     +  |  
    そのパッケージをインストール、もしくはアップグレードする |  
  
 
   
     - (ハイフン) |  
    そのパッケージを削除する(設定ファイルは残る) |  
  
 
   
     _ (アンダーバー) |  
    そのパッケージに関して設定ファイルも含めて完全に削除する |  
  
 
   
     v  |  
    パッケージのインストールに関する項目の簡易表示と詳細表示の切り替え。
     |  
  
 
 
[4.5.2] インストール手順
  - [S]elect を選択して、ヘルプ画面に入る
   
読めそうならピリオドを押して、続きを読んでから
        パッケージ選択画面に移りましょう。
        読めそうもないのなら、スペースを押して
        さっさとパッケージ一覧画面に移りましょう。
     
   - パッケージ選択画面で目的のパッケージを見つける。
     
パッケージの数はめちゃくちゃ多いのでカーソルキーで見つけるのは
    かなり骨が折れます。よって検索をかけます。
    「 / 」キーを押して、探したい文字列を入力したあと
    (下にその文字列が表示されるはずです)
    
    を押すと、まず一つ検索されたパッケージの場所へ移動します。
    違った場合はそのまま「 \ 」キーを押して下さい。
    次の検索候補のところまで移動します。
    これを繰り返して目的のパッケージの場所まで移動してください。
     
   - 目的のパッケージの現在の情報を確認
     
そのパッケージがすでにインストールされているのか、前回の選択では
    どういった選択をしたのか、今回はどう変更したのか、といったことに関して
    左側にある「 *** 」とか「 ___ 」
    といった表記がそれを示しています。
    基本的に必要なのは一番左側と一番右側のマークで、
    一番左側のマークは「すでにインストールされているかされていないか」で、
    一番右側のマークは「これからインストールするのかしないのか」という意味です。
    マークの意味は以下のとおりです。
    (ちなみに、「 v 」を押すと詳細表示できます)
     
 
   
    | マーク |  
    左のマークの意味 |  
    右のマークの意味 |  
  
 
   
     *  |  
    インストール済み |  
    インストール、またはアップグレード |  
  
 
   
     - (ハイフン) |  
    未インストール(設定ファイル残存) |  
    削除(設定ファイルは残す) |  
  
 
   
     _ (アンダーバー) |  
    未インストール(設定ファイルなし) |  
    完全削除(設定ファイルも削除) |  
  
 
 
   - 実際のインストール、アンインストールの設定。
     
インストールしようとするパッケージに「 * 」が付いていたり、
    アンインストールしようとするパッケージに「 - 」とか「 _ 」
    が付いている場合は、わざわざいじる必要はありません。
    しかし、そうではない場合には設定する必要があります。
    インストールする方法は、そのパッケージにカーソルを合わせ、
    「 + 」を、アンインストールする場合には
    「 - 」または「 _ 」
    を押してください。
     
   - パッケージの依存・競合関係
     
上記の入力を行って、何も起こらなければ次の項目へ移ってください。
    しかし、場合によってはパッケージ同士の依存もしくは競合関係から
    他にもパッケージのインストールを行う必要が出たり、
    もしくは逆にアンインストールする必要が出たりして、そういった画面に移行します。
     
     まず、注意を促す画面が出た後、競合・依存関係に基づいた
    パッケージのインストール、アンインストールの提案が表示されます。
    もしも、その提案に従うならば、「 Return 」を、
    従わずに前手順の選択を破棄してパッケージ一覧の画面に戻るには
    「 X 」を押してください。
    (要するによさそうなら「 Return 」、
    間違って選択してしまったら「 X 」ということ)
     
 
   - 残りのパッケージの設定
     
これで、ある一つのパッケージに関しての設定は終了です。
    他にもインストール、アンインストールしたいパッケージがあれば
    手順 2 〜 5 を繰り返してください。
     
   - 終了の方法
     
一通り設定が終了したら、パッケージ一覧画面で
    「 Return 」を押して、最後に依存・競合関係を確認して
    終了します。
    また、最初からやり直したい、などというときは「 X 」
    を押せば、今までの設定を全て破棄して終了できます。
     
   - 初めて dselect を使用する際の注意
     
初めて dselect を使用した際にはデフォルトで既に「標準」パッケージの
    インストールをするように設定されています。
    これを無視するためには、パッケージ一覧画面に入ったら
    「 R 」を押してください。
     
 
[4.6]  [I]nstall
[S]elect でインストールするように設定したパッケージの
インストール・更新を行います。パッケージによっては設定に関しての
質問をされることもあります。
また、アップグレードされているパッケージに関しては、特に[S]elect で
変更していなくてもこの際に更新されます。
[4.7]  [C]onfig
未設定のパッケージを設定しますが、
たいていは [I]nstall で設定は終了しているので
何も無く終了します。
[4.8]  [R]move
[S]elect でアンインストールするように設定したパッケージの
削除を行います。
[4.9]  [Q]uit
dselect を終了します。お疲れ様でした。