水惑星における灰色大気大循環 (Ishiwatari et al.(1998) の再試 part 3)

目的

前回, 現在の DCPAM5 において Ishiwari et al.(1998) の水惑星灰色大気大循環の数値実験を再現するような実験設定を示した (https://www.gfd-dennou.org/arch/dcpam/sample/2016-07-27_ykawai/aquaplanet_gray_swamp_v4.pdf). その際, 再試実験に必要な 設定を探す中で, 統計的平衡状態の大気上層の構造が水平拡散の時定数に強く依存する可能性が示唆されたが, こういった振る舞いが初期の比湿や水平解像度にどう依存するかなどの詳細は調べなかった. ここでは, I98 に最も近い実験設定を与えた時に, 水平拡散の時定数, 初期の比湿, 水平解像度にどのように依存するかを確認する.

実験設定

主な設定

  • 解像度
    • 水平方向: T21
    • 鉛直方向: L26, L36, L46, L56
      • L26 は part1,2 で用いてきた鉛直層数である.
      • L36, L46, L56 では L26 のモデル最上層(sigma~1e-2)のさらに上に, 約 1/4 スケールハイトの鉛直格子幅で格子点を増やす.
  • 惑星パラメータ
    • 惑星半径, 自転角速度, 自転傾斜角は, 地球と同じ値を与える
  • 大気成分
    • 乾燥空気, 水蒸気
    • 乾燥空気の分子量は水蒸気と同じ値に設定(~ 18e-3 kg/mmol)
  • 放射過程
    • 灰色大気放射(Nakajma et al. 1992)
      • 水蒸気による長波放射の吸収のみを考慮(吸収係数 0.01 m^2/kg)
    • 年平均・日平均した太陽放射フラックスを与える
  • 凝結過程
    • 対流調節(Manabe et al., 1965)
    • 大規模凝結(Manabe et al., 1965)
    • 雲なし(雲の寿命 0 秒)
  • 力学過程
    • 水平粘性・拡散
      • 8 次(ラプラシアン 4 つ)
      • 最大波数に対する時定数: 3 hours, 24 hours
    • 物質移流: スペクトル法
  • 惑星表面条件
    • swamp ocean
  • 初期条件:
    • 静止等温大気(280 K)
    • 比湿: 1e-3 kg/kg あるいは 1e-4 kg/kg
  • 積分時間
    • 70,000 日
    • 統計的平衡状態の結果として, 最後の 10 年間を時間平均した場を示す.

実験シリーズ

  • CNTRL (Ishiwatari et al.(1998) に最も近い実験設定)
    • 解像度: T21L26, 初期の比湿: 1e-3 kg/kg, 最大波数に対する水平粘性・拡散の時定数: 3 hours, 物資移流の評価: スペクトル法
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-3
    • 鉛直解像度 L36 (モデル最上層のsigma~1e-3). それ以外は CNTRL と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-3_HDIFFWeak
    • 最大波数に対する水平粘性・拡散の時定数: 24 hour, それ以外は SigTop1e-3 と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-3_QvIni1e-4
    • 初期の比湿 1e-4 kg/kg. それ以外は SigTop1e-3 と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-4
    • 鉛直解像度 L46 (モデル最上層のsigma~1e-4). それ以外は CNTRL と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-4_HDIFFWeak
    • 最大波数に対する水平粘性・拡散の時定数: 24 hour, それ以外は SigTop1e-4 と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • SigTop1e-5
    • 鉛直解像度 L56 (モデル最上層のsigma~1e-5). それ以外は CNTRL と同じ
    • namelist ファイル [初期値生成, 実行]
  • ソースコード

結果

各実験ケースの結果

まとめと考察

その他リンク