ここでは, 座標系および水平格子点, 鉛直レベルの取り方を記す. さらに, 力学過程の時間積分において使用する 水平スペクトルを定義し, 格子点値とスペクトルの係数との変換則を記す.
座標系は, 水平方向には緯度
, 経度
を,
鉛直方向には
をとる. ここで
は気圧,
は地表面気圧である.
座標の取り方に関する詳細は別紙『 支配方程式系の導出に関する参考資料』 の『座標系の取り方』を参照せよ.
水平方向の格子点の位置は, Gauss 緯度 (格子点数
個
2.1),
等間隔の経度 (同
個) である.
Gauss 緯度を
次のLegendre函数
の零点
として定義する.
順番としては,
とする
2.2.
なお以後,
と書くことがある.
経度方向の格子点の位置を
![]() |
(2.1) |
Arakawa and Suarez (1983) のスキームを用いる.
とり方は以下のとおりである
2.3.
下の層から上へと層の番号をつける.
整数レベルと半整数レベルを定義する
2.4.
半整数レベルでの
の値
を定義する.
ここで, レベル
は下端(
),
レベル
は上端(
)とする.
整数レベルの
の値
は次の式から求める.
,
ここでは, 力学過程の時間積分での計算において用いるスペクトルを導入し, 格子点での値とスペクトルの係数とのやり取りの公式を示す.
格子点上の点で定義された物理量は,
格子点上でのみ値を持つ (以下このことを, 「離散化した」と呼ぶ)
球面調和函数の和の形で表現される.
また, 各格子点における物理量の水平微分を評価するために,
面で定義された (以下, 「連続系の」と呼ぶ)
球面調和函数系で内挿して得られる関数を用いる.
ここではその球面調和函数を導入する.
なお, 簡単のために, 連続系の球面調和函数のみを陽に記す.
離散系の球面調和函数は
連続系の球面調和函数に格子点の座標を代入したものから構成される.
面において,
球面調和函数
は次のように定義される.
| (2.4) |
![]() |
(2.5) | |
![]() |
(2.6) |
波数切断は三角形切断 (T) または平行四辺形切断 (R) とする.
,
は三角形切断, 平行四辺形切断のときについて
それぞれ以下のとおりである.
ただし, 切断波数を
とする.
,
, かつ
.
自由度は,
である.
,
, かつ
.
自由度は,
である.
よく用いられる値の例としては,
T42 の場合
,
R21 の場合
がある.
球面調和函数と波数切断に関する詳細は, 第A.1節および第A.8節 を参照せよ.
離散化したLegendre函数と三角関数は 次の直交条件を満たす 2.6.
![]() |
(2.7) | |
![]() |
(2.8) |
である.
物理量
の
格子点
(ただし
) での値
と
スペクトル空間での
(ただし
)
の係数
とは次の変換則に従う
2.7.
なので,
![]() |
(2.11) | |
![]() |
(2.12) |
空間で定義される物理量
を
格子点値
をもとに内挿する場合には,
変換公式を用いて
から
を求めた上で,
![]() |
(2.13) |
各格子点における空間微分値の評価は, 内挿公式を用いて得た連続関数の空間微分の格子点値で評価する.
で与えられる.