%題名  金星現象論  金星大気の圧力場
%履歴  90/05/04  野村竜一
%      92/08/06  林祥介
%      96/07/22  高木征弘       地球流体電能倶楽部資源「金星現象論」へ
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
\documentstyle[a4j,12pt,ascmac,twoside,dennou,Depspic]{jarticle}

\Dtitle{金星現象論: 金星の圧力場}
\Dauthor{地球流体電脳倶楽部}
\Ddate[96/07/22]{1996 年 7 月 22 日}
\Dpath{/riron/genshou/venus/press/}

\begin{document}
\maketitle

%\pagenumbering{roman}
\tableofcontents
%\clearpage
%\pagenumbering{arabic}

\begin{abstract}
  パイオニア・ヴィーナスによる金星大気の圧力場観測の結果について. 
\end{abstract}
\newpage
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

\Dchapterhead
 
ここでは パイオニア・ヴィ−ナス(着陸船)による.
金星大気の圧力観測の結果について述べる.


\section{金星大気の圧力場の観測方法}

\subsection{直接観測}
       
       この節で並べるデ−タは直接観測で得られたものである.
       観測方法は 65 km より上と下で異なる.
       
       \begin{itemize}
       \item 65 km 以上
       
             金星大気に突入する探査機の加速度(減速度)
             から$\rho$を求める.
             静水圧近似を仮定してその$\rho$から
             気圧 $p$ を求める.
             

       \item 65km 以下
       
             気圧計で測る.
       \end{itemize}
       
\subsection{リモ−トセンシング}

       マイクロ波　掩蔽 によって気圧もわかる.手順については
       シリ−ズ「金星大気の温度場」を参照のこと.
       
\section{圧力の鉛直分布}

       図 1,図 2 は 大気中を降下する探査機
       \footnotemark[1]
       による気圧デ−タである.
       図 1は気圧計による観測
       で高度は 65km 以下,
       図 2 は 減速度から求めた間接的デ−タで
       高度は 120 km 付近から 65km までである.
     \footnotetext[1]{探査機名はそれぞれ SOUNDER, DAY, NIGHT, NORTH}

       \newpage
\begin{center}
\Depsf[155mm]{fig-prohibited/press-1.ps}
\end{center}       
       \begin{quote}
       図 1. 金星大気の鉛直圧力分布(高度 0$\sim$67km).
       探査機が降下中に気圧計で測ったもの(Seiff et al. 1980).
       
       \end{quote}
       
       \newpage
\begin{center}       
\Depsf[155mm]{fig-prohibited/press-2.ps}
\end{center}
       \begin{quote}
       図 2. 金星大気の鉛直圧力分布(高度 65 km$\sim$120 km).
       探査機の減速率から求めたもの
       (Seiff et al. 1980).
       \end{quote}
\newpage       
\section{圧力の経度・緯度依存性}

       図 3 は 各探査機の気圧デ−タの差を取って,
       DAY 探査船のデ−タで規格化したものである.
       横軸は高さで70 km から表面まで取ってある.
       右の方が高度が高い.
        
       \vspace{5mm}
       上段の図は緯度はほぼ同じだが,
       経度が異なりそのため昼と夜に分かれている地点のデ−タの差を表す.
       中段は経度も緯度も異なる地点間の差,
       下段はほぼ緯度のみ異なる地点間の差を表す(図 4).
       
       \vspace{5mm}
       これらの図から,気圧は経度より緯度による違いの方が
       大きいと推測される.
\begin{center}
\Depsf[140mm]{fig-prohibited/press-3.ps}
\end{center}     
       \begin{quote}
       図 3. 各探査機間の気圧差. 横軸は高さを表す.
       
       上段は経度がほぼ同じ探査機,
       中段は経度緯度とも異なる場合,
       下段は経度は異なり緯度がほぼ同じ探査機間のものである
       (Seiff et al. 1980).
       \end{quote}
\newpage 
\begin{center}
\Depsf[100mm]{fig-prohibited/press-4.ps}
\end{center}      
       \begin{quote}
       図 4. 各探査船の着陸位置.
       PV が パイオニア・ヴィ−ナスを表す(Schubert. 1983).
       \end{quote}
\newpage       
\section{遠心力バランス}
       遠心力バランスとは,
       緯度方向の気圧傾度力と
       東西方向の風速による遠心力が
       つりあうことをいう.
       東西風速を$u$,圧力を$p$,密度を$\rho$,緯度を$\phi$とすると,
       遠心力バランスの
       $\phi$成分の式は,
       
       \vspace{2cm}
       \begin{minipage}[b]{6cm}
       \begin{displaymath}
       0=-{1\over \rho R} \frac{\partial p}{\partial\phi} -{u^2 \over R} \tan \phi
       \vspace{1.5cm}
       \end{displaymath}
       
       である.
       この関係が金星上で成り立つと仮定して,
       気圧のデ−タから東西風速を計算して
       風速の実測値と比べたのが図 6である.
       
       \end{minipage}
       \hspace*{2cm}
       \begin{minipage}[b]{8cm}
\begin{center}
\Depsf[80mm]{fig-prohibited/press-5.ps}
\end{center}
       図 5. 遠心力バランス.
       \end{minipage}
       
       \vspace{5mm}
       
       \vspace{5mm}
       この計算では,
       経度方向に気圧は変わらないと仮定して,
       経度の違いを気にせず,
       緯度の差だけを考慮して
       気圧の差を取った.
       計算値と実測値がよい一致を見せている.
       これより金星大気の流れは 遠心力バランスしているといえる.
       このバランスが成り立つときには,
       低緯度の方が気圧が高くなければならない.
       図 3下段を見ると赤道付近の SOUNDER 探査機の気圧デ−タが
       中・高緯度の気圧より低くなっており(図 3下段),
       赤道付近の東西風は,遠心力バランス
       していないと予想される.
\newpage
\begin{center}
\Depsf[130mm]{fig-prohibited/press-6.ps}
\end{center}

       \begin{quote}
       図 6. 遠心力バランスを仮定して計算した東西風と,
       東西風の実測値.計算値は記号を結んだ線の方で,
       差を取るのに使ったふたつの探査機の名前が書いてある.
       DLBI は differential long baseline interferometery
       の略(Seiff ,1983).
       \end{quote}

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%題名  金星現象論  金星大気の圧力場
%履歴  90/05/04  野村竜一
%      92/08/06  林祥介
%firstname,*.*.,年:題名.雑誌名.,vol(太字(\bf)),ページ-ペ−ジ.
\section{参考文献}
\begin{description}

       \item Moroz, V. I., 1981:
             The atmosphere of venus.
             {\em Space Sci. Rev.}, {\bf 29}, 3-127.
       \item Schubert. G., 1983:
             General circulation and the dynamical state
             of the Venus atmosphere.
             in {\em VENUS}, 
             The university of Arizona presss, 
             684-685. 
       \item Seiff, A., et al., 1980:
             Mesurements of thermal structure and
             thermal contrasts in the atmosphere of
             venus and related dynamical observations.
             {\em J. Geophys. Res}., {\bf 85}, 7903-7933.
       \item Seiff, A., 1983:
             Thermal structure of the atmosphere of venus.
             ``{\em VENUS}'', 
              The university of Arizona press, 
              215-279.
\end{description}                   

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{\Large \bf 謝辞}
\vspace{1em}

本稿は 1989 年から 1993 年に東京大学地球惑星物理学科で行われていた, 
流体理論セミナーでのセミナーノートがもとになっている. 
原作版は野村竜一による「金星現象論」 (90/05/04) であり,
高木征弘によって地球流体電脳倶楽部版「金星現象論」
として書き直された (96/07/22).
構成とデバッグに協力してくれたセミナー参加者のすべてにも
感謝しなければならない.

\end{document}
