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: 地球流体理論マニュアル : 火星現象論

火星現象論: CO$_2$の物性

地球流体電脳倶楽部

1996 年 5 月 24 日


目次

概要:

CO$_2$ の比熱を概略する

比熱

CO$_2$の定圧モル比熱は表1のようになっている. この表では1Kmolあたりの比熱(単位は[KJ/Kmol K])と1Kgあたりの比熱 (単位は[KJ/Kg K])が示してある. ちなみに, CO$_2$が純粋な直線分子だとすると

\begin{displaymath}
c_p = \frac{7}{2}\frac{R}{M_{{\rm CO}_2}} = 0.66 \ \ \ \ {\rm [KJ/Kg K]}
\end{displaymath}

となる. ただし, $R$ は気体定数, $M_{{\rm CO}_2}$ はCO$_2$の分子量である.

また, 比熱が温度ともに増加するのは分子の振動により, 直線的でなくなるためである.

乾燥断熱減率

表1をもとに200kにおけるCO$_2$の乾燥断熱減率を計算する. 乾燥断熱減率$\Gamma$は次式で与えられる.

\begin{displaymath}
\Gamma = \frac{g}{c_p}
\end{displaymath}

ただし, $g$は惑星の重力加速度, $c_p$は1kgあたりの比熱である. 上の表より200kにおけるCO$_2$の比熱は, 0.7349 [KJ/Kg K]である. よって, 乾燥断熱減率は

\begin{displaymath}
\Gamma = \frac{g}{c_p} = \frac{3.72}{0.7349} = 5.06 \ \ \ \ {\rm [K/Km]}
\end{displaymath}

と求まる.

T[K] 1Kmolあたりの比熱 1kgあたりの比熱
100 29.2039 0.6637
200 32.3376 0.7341
300 37.1923 0.8453
400 41.3037 0.9387
500 44.6062 1.0138
600 47.3083 1.0820
700 49.5523 1.1262
800 51.4264 1.1688
900 52.9936 1.2044
1000 54.3073 1.2343
1100 55.4114 1.2594
1200 56.3426 1.2805
1300 57.1333 1.2985
1400 57.8093 1.3138
1500 58.3904 1.3271
1600 58.8935 1.3385
1700 59.3316 1.3484
1800 59.7166 1.3572
1900 60.0566 1.3649
2000 60.3593 1.3718
2100 60.6303 1.3780
2200 60.8748 1.3835
2300 61.0959 1.3885
2400 61.2980 1.3931
2500 61.4825 1.3973
2600 61.6530 1.4012
2700 61.8110 1.4047
2800 61.9573 1.4081
2900 62.0953 1.4113
3000 62.2242 1.4142
3100 62.3456 1.4169
3200 62.4611 1.4196
3300 62.5709 1.4221



表1 CO$_2$の比熱(工業熱力学基礎編, 表3.2)

参考文献




谷下 市松, 1960: 工業熱力学基礎編, 裳華房.



謝辞

本稿は 1989 年から 1993 年に東京大学地球惑星物理学科で行われていた, 流体理論セミナーでのセミナーノートがもとになっている. 原作版は石渡正樹による「火星現象論」 (1989/05/19) であり, 林祥介によって地球流体電脳倶楽部版「火星現象論」 として書き直された (1996/06/23). 構成とデバッグに協力してくれたセミナー参加者のすべてにも 感謝しなければならない.

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\begin{displaymath}
\mbox{dcstaff@gfd-dennou.org}
\end{displaymath}

まで連絡していただければ幸いである.


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Odaka Masatsugu 平成19年5月29日