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%   2009/02/06  修士論文
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% 2008/12/27 中本 光紀  作成
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\title{%
  \vspace{-3.5cm}
  {\bf %
    {\huge %
      修 \ \ \ 士 \ \ \ 学 \ \ \ 位 \ \ \ 論 \ \ \ 文
      \\ \vspace{1.5cm}%
      海洋大陸および赤道西太平洋の雲活動\\に関する観測的研究
    }%
  }%
  \\ \vspace{4.0cm}
  \begin{table*}[h]
      \begin{flushright}
        \begin{tabular}{ll}
          {\Large 専\hspace{0.5zw}攻\hspace{0.5zw}名} & {\Large 地球惑星科学専攻} \\
          {\Large 学籍番号} & {\Large 075S417S} \\
          {\Large 氏\hspace{2.0zw}名} & {\Large 中本 光紀} \\
        \end{tabular}
      \end{flushright}
  \end{table*}
}%
\date{\vspace{-9.0cm}\begin{flushright}平成21年2月6日\end{flushright}}
\author{神戸大学 大学院理学研究科 博士課程前期課程}
\maketitle
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%%%%%%%%%              Abstract                 %%%%%%%%%
\begin{abstract}
静止気象衛星GMS-5, GOES-9, MTSAT-1Rの赤外輝度温度観測データを用いてFFT法による
スペクトル解析を行い, 海洋大陸及び赤道西太平洋における雲活動の変動に含まれる様
々な周期成分のパワースペクトル密度及び位相を求め, それらの地理的分布につ
いて調べた. その結果, 海洋大陸及び赤道太平洋における全領域の平均としては1年周期
成分が支配的であり, 2年周期成分は海洋大陸と6 N--8 Sの赤道西太平洋で大きくエルニ
ーニョとの関連が示唆され, 1年周期の変動成分は海洋大陸南東部, 豪大陸北部, 南シナ
海, インドシナ半島, 及びベンガル湾で大きく, それはMurakami and Matsumoto (1994)で
示されたモンスーン領域と非常によく一致し, 半年周期成分はベンガル湾, 南シナ海, 豪
大陸北部で大きく赤道で小さく, ITCZが赤道をまたがないことを示唆し, 1ヶ月周期成分は
インド洋東部と海洋大陸の北東で大きく季節内変動との関連が示唆されることが示された. 
また, 2年周期成分は6 N--8 Sの西太平洋から海洋大陸の手前まで西向きに位相伝播しエル
ニーニョとの関連が示唆され, 1年周期成分は海洋大陸においても西太平洋においても南
北方向に位相伝播し, 特に海洋大陸では5 Nを境に南北で逆位相を示しITCZがそのあたりの
緯度をまたぐこと, 半年周期成分は海洋大陸では海から陸へ, 豪大陸北部では北東部から
北西部へ位相伝播し, 1ヶ月周期成分は海洋大陸を除いた赤道周辺緯度帯で東向きに伝播
し, それは季節内変動の東進と整合性があることが示された. また, ITCZの南北変位に対
応する各周期成分の赤外放射量と日射量の変化を比べたところ, 半年周期成分については
日射と赤外放射がバランスするが, 1年周期成分については雲活動以外の余分な熱を中緯度側
に逃がすようなメカニズムも重要であることが示唆された. さらに, 100 Eと120 Eに関
して雲活動の変動に含まれる1年, 半年, 1ヶ月周期成分は, 雲活動の変動に比べて1年周期
成分の方が極小を示す季節が2--3ヶ月ほど早いこと, 100 Eと120 Eとで半年周期成分の振幅
はほぼ同じであるが雲活動の変動の中に1年に2回の振動が見られるのは100 Eだけであるこ
となどが示された. これらの不可解な点は振幅の大きな複数の成分を重ね合わせることに
よって解消された. このことはすなわち, 雲活動の変動は一見含まれていないような周期
成分も含めた様々な周期成分によって構成されていることを示唆する. 
\end{abstract}
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%%%%%%%%%                目次                   %%%%%%%%%
\pagenumbering{roman}
\tableofcontents
\newpage
\listoffigures
\newpage
\listoftables
%
%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 1  はじめに           %%%%%%%%%
\chapter{はじめに}
\pagenumbering{arabic}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ はじめに}
%
インドネシア海洋大陸や赤道太平洋などの赤道域において, ある地点における雲活動は, 
様々な時間周期で活発・不活発の変動を繰り返していることが知られている. 周期の長
いものから順に挙げると, エルニーニョなどに伴う数年周期の変動, 日射量の季節変化
に起因する1年周期の変動, 熱帯収束帯(ITCZ: intertropical convergence zone)が1年
に2回通過することに起因する半年周期の変動, 季節内変動, 準2日周期の変動, 海陸風
循環に起因する日周期の変動などがある. 

近年では特に, 季節内変動に関する研究が注目を浴びている. Madden--Julian振動(MJO)%
の発見(Madden and Julian, 1971)を機に, 赤道域における30--60日周期の雲活動の変動
の実態を解明しようという様々な取り組みがなされ, 成果を収めている. 中でも, 水惑星
の数値実験により全球を30--40日周期で東進するスーパークラウドクラスターを見い出し
た研究(Hayashi and Sumi, 1986), 気象衛星の観測データにより30--60日周期で東進する
スーパークラウドクラスターが現実の大気にも存在することを示し, その構造の中により
短い時間周期で西進するクラウドクラスターが存在することを示した研究(Nakazawa, 1988)%
による成果は大きい. また, 西進するクラウドクラスターは準2日周期の西進慣性重力波の
特徴を持つことも分かり(Takayabu, 1994), 季節内変動の実態が解明されるまであと一歩
のところまで辿り着いているのかもしれない. 

しかしながら, 様々な周期の変動の中でも, 雲活動にもっとも大きな影響を与えている
のは1年周期の変動であるということは否定しがたい. このことは, 大気の運動の源は太
陽放射であり, 地球が受ける1日の平均日射量が図1.1に示すような季節変化をするのに
伴って熱的直接循環であるハドレー循環の上昇流域(ITCZに相当する領域)が1年周期で南
北に振動することを考慮すると容易に想像できる. Hartmann (1994)は, その物理的な詳
細を理論・観測の両面で説明している. また, Murakami and Matsumoto (1994)は, NOAA%
(National Oceanic and Atmospheric Administration: 米国海洋大気庁)衛星のOLR(Outgoing %
Long wave Radiation: 外向き長波放射)観測データを用いてアジアと北西太平洋における
モンスーンの発生・終息期の地理的な分布を調べ, 東南アジアモンスーンは大陸と海洋の
南北熱的コントラストによって駆動される南北循環によって引き起こされると説明してい
るが, OLRの季節変化を調べる中でITCZが1年周期で南北に振動していることが示されてい
る. このことは, 南北循環の上昇流域が, 夏季には大陸, 冬季には海洋に生じることを示
している. 日射量が大きくなるのも夏季は大陸, 冬季は海洋であるので, 1年周期の日射量
の変動が雲活動に大きな影響を与えていることを示しているとも言える. さらに, Okamoto %
et al. (2003)におけるレーウィンゾンデ観測のデータにも, ハドレー循環の上昇流域が南
北年内振動していることが示されている. これもやはり, 雲活動が1年周期の日射量の変動
に大きな影響を受けていることを示唆するものである. 

このように, 雲活動の季節変化と等価とみなせる循環の季節変化について, 確立した理
論が存在し, 数多くの理論的・観測的研究がなされている. しかしながら, その観測的
研究の多くは, 季節的なシグナルを調べようとする目的などのために観測データを平均
することによって平均した期間よりも短い周期の変動を除去しているとはいえ, それよ
りも長い周期の変動をすべて含んだまま, それぞれの変動を厳密に区別することなく解
析を行っている. Murakami and Matsumoto (1994)の場合, データを半旬(5日間)平均す
ることによって数日以下の周期の変動を取り除いているものの, それ以上の周期の変動
を分離することなくすべて含んだまま解析が行われている%
\footnote{%
  厳密には, さらに各半旬毎のデータを解析期間(12年間)中の年平均値にしているため, 
  1年周期よりも長い周期の変動も取り除かれている. 
}%
. したがって, 図1.2に示すような滑らかなOLRの南北季節変化(ITCZの南北季節振動)が, 
唯一厳密な1年周期の変動のみによって表現されているのか, それとも数10日から1年ま
での複数の周期の変動が重なり合った平均としてたまたま表現されているに過ぎないの
かを判別することはできない. ここで, 図1.2(B)に注目してもらいたい. ITCZの南北振
動のうち, 北への遷移速度は南への遷移速度に比べて遅いことが分かる. 一方, 20 Nに
おいて, モンスーン期入りの前は明けの後よりも等値線が密であり, 急激にモンスーン
期に入りゆっくり明けることが分かる. 唯一厳密な1年周期の変動のみによってITCZが
表現されているのであれば, このような非対称性が生じるだろうか. 

そこで, 本研究では, Murakami and Matsumoto (1994)で示されているような1年周期の
雲活動の変動の中に様々な周期の変動がそれぞれどの程度含まれているのかを調べ, 
雲活動の変動が唯一厳密な1年周期の変動のみによって表現されているのか, それとも
数10日から1年までの複数の周期の変動が重なり合った平均としてたまたま表現されて
いるに過ぎないのかを判別することを試みる. また, それぞれの周期を厳密に区別し, 
海洋大陸及び赤道域の西部太平洋の各地点において見られる雲活動の変動に含まれる周
期成分の強さ・遷移の様子が地理的にどのように分布しているのかを調べ, 赤道域の雲
活動に内在するそれぞれの周期成分の寄与について考察する. 同時に, ITCZの南北変位に
対応する各周期成分が, 日射量の季節・緯度変化と対応しているかどうかを調べ, 対応し
ていない場合には何が関係しているのかを考察する. とりわけ, 長周期(数10日～数年周
期)の変動に注目する. 
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\begin{figure}[t]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,trim=0 0 0 0,clip]{fig/chapter1/sekii.eps}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[各緯度における1日の平均日射量の季節変化(Hartmann, 1994)]%
    {%
      \footnotesize{%
        各緯度における1日の平均日射量の季節変化. 単位はW m$^{-2}$で, 等値線間隔
        は$50$ W m$^{-2}$. 太破線は太陽の赤緯を示す. %
        (Hartmann, 1994の図2.6を転載.)
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
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\begin{figure}[t]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,trim=0 150 0 100,clip]{fig/chapter1/M-M-1994fig4.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[半旬平均したOLRをさらに解析期間(12年間)で平均した値の時間--緯度断面図(Murakami and Matsumoto, 1994)]%
    {%
      \footnotesize{%
        半旬平均したOLRをさらに解析期間(12年間)で平均した値の時間--緯度
        断面図. (A)は80 E, (B)は100 Eで固定されている. 等値線間隔は10 W m$^{-2}$である. 
        陰影部, 濃陰影部はそれぞれ220, 200 W m$^{-2}$以下の
        領域で, 共にモンスーン期を示す. 太実線は各半旬における最小値として定義したITCZを示す. %
        (Murakami and Matsumoto, 1994の図4を転載.)
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
\newpage
%
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%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 2  データ             %%%%%%%%%
\chapter{データ}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ データ}
%
衛星観測は定点観測に比べ広い範囲を同時に観測することが可能であり, 数1,000 kmもの大規模なオーダーの
水平領域における現象を観測するのに適している. 特に静止気象衛星は, 極軌道衛星のように地球を周回して
いるわけではないがゆえに同じ地点の観測を長期的に短時間間隔で頻繁に行うことが可能であり, 時間スケー
ルの短い現象から長い現象までを長期的に観測することができる. 本章では, 本研究に用いた静止気象衛星デ
ータの種類や性質, 注意すべき点などについて述べる. 
\section{本研究に用いたデータ}
1996年から2006年の, 日本の気象観測に利用されてきた静止気象衛星%
(GMS-5\footnote{Geostatinally Meteorological Satellite 5の略. }, %
GOES-9\footnote{Geostationary Operational Environmental Satellite 9の略. }, %
MTSAT-1R\footnote{Multi-functional Transport Satellite 1 Replacementの略. })%
の赤外1(IR1)チャンネルデータを用いた. ここで衛星の名前が3つあるのは, 1996年から2006年にかけて世代
交代しつつ3機の衛星が運用されてきたためである. これらのデータは, 赤外画像データとして気象業務支援
センターから配信されている. 各衛星のIR1チャンネルについての緒元を表2.1に, それぞれの衛星で用いた具
体的なデータの期間を表2.2に示す. 表2.1から分かるように, GOES-9の静止軌道位置は他の衛星と異なり, GO%
ES-9の画像は他のそれとは撮像範囲が異なる. しかし, 配信される画像データは幾何補正されており, 全ての
衛星の画像において, 画像上の位置と地理的な位置が一致するように細工されている. 配信されるデータに対
する補正はこの幾何補正だけであり, 衛星直下の領域と撮像限界の領域との間に生じる放射伝達距離の相違は
補正の対象になっていない. また, 地球はほぼ球形なので配信される画像は円形であるが, 本研究では高知大
学気象情報頁\footnote{http://weather.is.kochi-u.ac.jp/}にアーカイブされている70 Eから150 W, 70 Nか
ら70 Sの範囲のメルカトル図法に座標変換された560$\times$560ピクセルの画像データを用いた. 

前述のような衛星データを, 1時間の時間分解能, 緯度1度, 経度1度の水平分解能で用いた. 解析に用いる範囲
は, 図2.1に示すように, 20 Nから20 S, 90 Eから150 Wである. この範囲は, 海洋大陸及び赤道西太平洋を
十分に含んでおり, 3機の衛星の観測可能範囲である. ここで, 加藤(1983)に倣い，GOES-9の有効観測範囲から
大きくずれる70 Eから90 Eの範囲は解析範囲外としている. 実際のGOES-9とMTSAT-1Rの衛星画像を示した図2.2%
より, 70 Eから90 Eの範囲では画像が白くなっている部分が存在し, 明らかに十分な観測ができていないことが
確認される. なお, 表2.2に示した期間のうち, 解析範囲に欠損が見られるような時間のデータは除外した. こ
の欠損の理由としては, 衛星の寿命による一部観測中止や, 春・秋の食期間における一部観測中止などが挙げら
れる. 
%
%
\begin{table}[t]
  \begin{center}
    \begin{quotation}
      \caption[各衛星のIR1チャンネルについての諸元]%
      {%
        \footnotesize{%
          各衛星のIR1チャンネルについての諸元. それぞれの衛星でセンサーは異なり, 観測波長帯も
          異なる. GOES-9の静止軌道位置は他の衛星と異なる. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
    \label{shogen}
    \begin{tabular}{lccc} \hline
    衛星 & GMS-5 & GOES-9 & MTSAT-1R \\ \hline
    センサー & VISSR & Imager & JAMI \\
    静止軌道位置 & 140 E & 155 E & 140 E \\
    水平分解能 & 5 km & 4 km & 4 km \\
    全球観測間隔 & 1時間 & 1時間 & 1時間 \\
    観測波長帯 & 10.5--11.5 $\mu$m & 10.2--11.2 $\mu$m & 10.3--11.3 $\mu$m \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}
%
%
\begin{table}[t]
  \begin{center}
    \begin{quotation}
      \caption[各衛星で用いたデータの利用期間]%
      {%
        \footnotesize{%
          各衛星で用いたデータの利用期間. ただし, この期間の中でも解析範囲に欠損がを含む
          時間のデータは除外する. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
    \label{kikan}
    \begin{tabular}{lc} \hline
    衛星 & データの利用期間(UTC) \\ \hline
    GMS-5 & 1996年01月01日00時 ～ 2003年05月22日00時 \\
    GOES-9 & 2003年05月22日06時 ～ 2005年06月30日23時 \\
    MTSAT-1R & 2005年07月01日01時 ～ 2006年12月31日23時 \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}
%
%
\begin{figure}[t]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=12cm,trim=3 3 6 3,clip]{fig/chapter2/chizu.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[本研究における解析範囲の地図]%
    {%
      \footnotesize{%
      本研究における解析範囲の地図. 海洋大陸及び赤道西太平洋に加え, 西部には部分的に
      インド洋も含まれる. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
  \label{chizu}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[t]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,trim=3 3 3 3,clip]{fig/chapter2/70e.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[高知大学気象情報頁(http://weather.is.kochi-u.ac.jp/)より入手した衛星画像]%
    {%
      \footnotesize{%
        高知大学気象情報頁(http://weather.is.kochi-u.ac.jp/)より入手した衛星画像. 左はGOES-9, 
        右はMTSAT-1Rが, それぞれ2005年1月1日00時UTC, 2006年1月1日00時UTCに撮影したもの. GOES-9%
        は, 70 Eから90 Eの範囲を明らかに十分観測できていない. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
  \label{70e}
\end{figure}
%
%

\subsection{雲活動の指標としてのIR1データ}
各衛星のIR1チャンネルが観測しているものは, 表2.1に示したような波長帯の赤外線である. この波長
帯は「大気の窓領域」と呼ばれ, 地球から放出された赤外線が大気中を通過して衛星に観測されるまで
に大気中の分子によってほとんど吸収・散乱されることがない波長帯である. しかし大気中の分子より
比較的大きな雲粒子によっては吸収・散乱されるので, IR1チャンネルはある程度の厚さをもった雲の
雲頂からの赤外線放射量, または雲のないところでの地表面や海面からの赤外線放射量を観測している
といえる. また, 雲頂や地表面からの放射はほぼ黒体放射に近いとみてよく, ステファン・ボルツマン
の法則の原理を用いて, 観測した赤外線放射量から温度を推定できる. その温度を輝度温度と呼び, 雲
のないところでの地表面や海面の温度や, 雲頂の温度を推定できる. 対流圏では高度が高いほど温度は
低いので, 高度の高い雲頂の輝度温度ほど低くなる. 雲頂高度の高い雲が存在する領域では, 一部例外
を除いて雲活動が活発であるといえる. すなわち, 輝度温度が低いほど雲活動は活発, 輝度温度が高い
ほど雲活動は不活発といえ, 輝度温度を雲活動の指標として用いることができる. 
\subsection{IR1データと輝度温度の関係}
赤外線放射量から温度を推定できるという原理を利用して, 本研究ではIR1データと輝度温度を対応させ
た換算表を用いてIR1データを輝度温度に変換した. 気象業務支援センターから配信されている衛星のIR1%
データは, 表2.1に示した水平分解能の各格子点に0--255の256階調の値が1つずつ格納されている格子点
データである. その各値に対応する輝度温度を示した換算表も, IR1データと同様に毎時配信されている. 
毎時配信されているとはいえ, 同じ衛星の運用中に配信される換算表はほとんど内容が一致し, 内容が
大きく変化するのは, 運用される衛星がGMS-5からGOES-9, GOES-9からMTSAT-1Rに世代交代するときくら
いである. 特に, GMS-5からGOES-9に世代交代するときの換算表の変化よりも, GOES-9からMTSAT-1Rに世
代交代するときの換算表の変化が大きい. 例として, 表2.3に各衛星が運用されていたときの換算表の一
部を示す. この換算表は, IR1データを用いて何かしらの解析を行う際には, データに対応した換算表を
用いて事前にIR1データを輝度温度に変換しておかなければならないことを示している. なぜなら, 時間
が違えば, というよりもむしろ衛星が別物であれば, IR1データの値は同じでも, 換算される輝度温度は
一致せず, 物理的には同じ意味を持たないからである. 

表2.3より, 特にMTSAT-1Rの運用期間中の換算値が他の衛星運用期間中の換算値と大きく異なっているこ
とが分かる. これは, それぞれの換算表をグラフにプロットしてみるとさらに明瞭である. 図2.3に, 横
軸にIR1データの値(Level), 縦軸に輝度温度(Brightness Temparature)をとり, 各衛星運用期間における
代表的な換算表のプロットを示す. 図2.3より, GMS-5とGOES-9の換算表はほとんど同じで区別できないこ
とが分かる. しかし, MTSAT-1Rに関しては, Levelが大きくなるにつれて他の2つの衛星の換算値との差が
どんどん大きくなっている. また, GMS-5とGOES-9の換算表は, 241 $\le$ Level $\le$ 254において輝度
温度130 K, Level=255で輝度温度0 Kという明らかに信用性のない換算となっている点で共通しているが, 
MTSAT-1Rの換算表ではそのようなことはない. なぜこのようにMTSAT-1Rだけ値が違うのかについてはよく
分かっていないが, その原因はMTSAT-1Rの感度が向上したことなどの設計上の問題だと思われる. さらに, 
このプロットは密でほぼ曲線に見えるが, その曲線つまりIR1データと輝度温度の関係を表す関数は線形
ではないので, たとえばいくつかのデータを平均化する場合には輝度温度に変換してから平均化しないと
物理的に正確な平均値は得られない. よって, 本研究では最も最初に換算表を用いてIR1データを輝度温
度に変換し, その後解析を行うこととする. 
%
%
\begin{table}
  \begin{center}
    \begin{quotation}
      \caption[IR1データの値と輝度温度を対応させた換算表の一部]%
      {%
        \footnotesize{%
          IR1データの値と輝度温度を対応させた換算表の一部. 輝度温度の左列, 中列, 右列は, それぞれ%
          2000年08月01日00時UTC(GMS-5), 2004年08月01日01時UTC(GOES-9), 2005年08月11日10時UTC(MTSAT-1R)%
          の換算値である. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
      \label{kansan}
    \begin{tabularx}{9.0cm}{Xrrr} \hline
    \multicolumn{1}{l}{IR1} & \multicolumn{3}{c}{輝度温度[K]} \\ \hline
    120 & 281.350000 & 281.596000 & 285.735000 \\
    121 & 280.860000 & 281.104000 & 285.286111 \\
    122 & 280.368000 & 280.611000 & 284.837222 \\
    123 & 279.873000 & 280.115000 & 284.388333 \\
    124 & 279.375000 & 279.617000 & 283.933235 \\
    125 & 278.875000 & 279.116000 & 283.474412 \\
    126 & 278.373000 & 278.613000 & 283.015588 \\
    127 & 277.868000 & 278.107000 & 282.556765 \\
    128 & 277.360000 & 277.599000 & 282.094412 \\
    129 & 276.849000 & 277.087000 & 281.626176 \\
    130 & 276.336000 & 276.573000 & 281.157941 \\ \hline
    \end{tabularx}
  \end{center}
\end{table}
%
%
\begin{figure}
  \begin{center}
    \includegraphics[width=12cm,clip]{fig/chapter2/L-T.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[IR1データと輝度温度の関係]%
    {%
      \footnotesize{%
        IR1データと輝度温度の関係. 横軸(Level)はIR1データの値, 縦軸(Brightness Temparature)%
        は輝度温度への換算値である. 青色のGMS-5と緑色のGOES-9は重なり合っておりほとんど区別
        できないが, 赤色のMTSAT-1Rだけ大きく異なる. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
  \label{L-T}
\end{figure}
%
%

\newpage
\section{データの補正}
本研究では, 静止気象衛星3機(GMS-5, GOES-9, MTSAT-1R)のデータを用いたが, 表2.1に示したように
衛星相互でセンサーや観測波長帯が異なるため, 当然衛星相互に観測誤差が生じる. また, 衛星の静止
軌道位置が異なるため, 放射伝達距離の差による観測誤差も生じることが考えられる. 3機の衛星のデ
ータを11年間の連続した等価なデータとして扱うためには, まずはその観測誤差を補正しなければなら
ない. 本節では, 衛星間のセンサーの相違による観測誤差, 静止軌道位置の相違による観測誤差につい
て議論する. 

\subsection{センサーの相違による観測誤差}
衛星のセンサーの相違による輝度温度の観測誤差に関して, Tahara et al. (2004)はGMS-5とGOES-9の
観測誤差, Tahara and Ohkawara (2005)はGOES-9とMTSAT-1Rの観測誤差について記述している. どちら
も, 同時観測されたデータを用いて, 地表から衛星までの距離がほぼ同じとなる140 Eから155 Eの, 海
上及び雲のない領域について比較を行っている. それぞれの観測誤差を表2.4に示す. ここで, GMS-5と%
MTSAT-1Rの観測誤差は同時観測が不可能であるため分からないが, 上記の2つの観測誤差から推定する
ことは可能である. その推定誤差も加えて表2.4に示す. 表2.4より, GMS-5とMTSAT-1Rに比べてGOES-9%
の輝度温度が高いことが分かり, その差は1.0 K未満である. 大気が乾燥していると仮定して乾燥断熱
減率を$-10$ K/kmと見積もると, 1.0 Kの差は高度に換算するとたかだか100 mの差でしかない. これは, 
10 km以上ある赤道対流圏の厚さの1 \% 未満であり, 無視できるほど小さい. ただし, 表2.4の結果は, 
狭い範囲の海上または雲のない領域の同時観測データだけを用いるという極めて限定された条件の下で
の結果であり, 有意な誤差を得られるほどの十分な数のデータを確保できたかどうかは定かでない. 

Tahara and Ohkawara (2005) は, GOES-9とMTSAT-1Rの観測誤差について, より静止軌道位置の相違によ
る影響が生じない147 Eから148 Eの, 雲域や陸域も含めた領域について比較を行っている. この誤差は
先述の極めて限定された領域の誤差($-0.37$ K)に比べて2倍程度($-0.75$ K)であり, このことは雲域や
陸域も含めると誤差は大きくなることを示唆している. しかしながら, いずれにせよセンサーの相違に
よる観測誤差は1.0 K未満であり, 無視することができるといえよう. 
%
%
\begin{table}
  \begin{center}
    \begin{quotation}
      \caption[各衛星のセンサーの相違による輝度温度の観測誤差]%
      {%
        \footnotesize{%
          各衛星のセンサーの相違による輝度温度の観測誤差. GMS-5とMTSAT-1Rに比べてGOES-9の輝度
          温度が高い. MTSAT-1RとGMS-5の差はあくまで推定である. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
    \label{gosa1}
    \begin{tabular}{ccccc} \hline
    (衛星1) & (衛星2) & & & $(衛星2)－(衛星1)$ \\ \hline
    GMS-5 & GOES-9 & & & 0.79 K \\
    GOES-9 & MTSAT-1R & & & $-0.37$ K\\
    MTSAT-1R & GMS-5 & & & $-0.42$ K（推定）\\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}
%
%
\subsection{静止軌道位置の相違による観測誤差}
センサーの相違による観測誤差の他に, 静止軌道位置の相違による観測誤差も存在する. これは, 位置が
異なれば, 放射される赤外線が衛星に観測されるまでに通過する大気の厚さ, すなわち放射伝達距離が異
なることに起因する. 前述の通り, 衛星のIR1チャンネルが観測する波長帯の赤外線は大気中で吸収・散乱
されにくい. とはいえ, 放射強度は放射伝達距離の2乗に反比例し, また, 赤外線は大気中の分子によって
まったく吸収・散乱されないわけではないので, 放射伝達距離が異なれば観測される放射強度は異なる. 
ここでは, そうした静止軌道位置の相違によって生じる各衛星間の観測誤差について議論する. 
\subsubsection{GMS-5とGOES-9の観測誤差}
表2.1に示したように, GMS-5とGOES-9の静止軌道位置は, それぞれ140 E, 155 Eである. 両衛星から地表
までの距離は, 147.5 E経線上では一致するが, それより東や西では差が生じる. この距離の差によって
どれくらいの観測誤差が生じるのかを見積もるため, GMS-5, GOES-9それぞれの運用期間中における輝度
温度の平均値を本研究の解析範囲内の各格子点について求め, 比較した. ここで, この平均値は運用期間
中の全データを単純に平均しただけのものではないことに注意されたい. それぞれの衛星の観測データに
は特定の季節のデータが選択的に多く含まれており, GMS-5とGOES-9とでデータの数が多い季節が一致し
ているわけではない. 全データを単純に平均すれば, データの数が多い季節の特徴が平均値に偏って現れ
てしまうため, 両衛星の平均値を有意に比較することはできない. この季節の特徴を取り除くため, あら
かじめ月毎の平均値を求めた上で運用期間中の平均値を求めている. このようにして求めたGOES-9運用期
間中の平均値からGMS-5運用期間中の平均値を差し引き, 2つの衛星の輝度温度の差を求めた. その差を図%
2.4の上段に示す. 図2.4上段より, GMS-5からの距離とGOES-9からの距離が同じになる147.5 E付近を境に, 
GOES-9からの距離の方が短くなる東側では正の偏差, 長くなる西側では負の偏差を示し, 東側では東に行
くほど, 西側では西に行くほど偏差の絶対値が大きくなるという傾向があることが分かる. この傾向を持
った偏差は静止軌道位置の相違による観測誤差が存在することを示しており, その偏差が最大で10 K程度
となっていることを考えると, 両者の衛星の観測値を物理的に等価なものとして扱うためにはいずれかの
衛星のデータを補正しなければならない. この補正に関しては, 後に議論する. 
\subsubsection{GOES-9とMTSAT-1Rの観測誤差}
再び表2.1を見ると, GOES-9とMTSAT-1Rの静止軌道位置は, それぞれ155 E, 140 Eである. この位置関係
は上記のGMS-5とGOES-9の位置関係と同じであり, 両衛星間の輝度温度の差は当然上記と同じ傾向を持つ
ことが予想される. 実際に, 上記と同様の手順で輝度温度の差を求めると, 図2.4中段のような結果が得
られた. 注意すべき点は, GOES-9運用期間中の平均値からMTSAT-1R運用期間中の平均値を差し引いたと
いう点である. 逆の演算を行えば偏差の符号が反対になる. 図2.4中段には, GOES-9とMTSAT-1Rの輝度温
度差もGMS-5とGOES-9の輝度温度差と同様に, 147.5 Eより東側では東に行くほど, 西側では西に行くほど
絶対値が大きくなる傾向があることが示されている. このこともまた, 静止軌道位置の相違による観測誤
差が存在することを示している. 
\subsubsection{GMS-5とMTSAT-1Rの観測誤差}
さらに再び表2.1を見ると, GMS-5とMTSAT-1Rの静止軌道位置はどちらも140 Eである. よって, 静止軌道
位置の相違による観測誤差は存在せず, 上記の二つの場合のような傾向を持った偏差は見られないと予
想される. 実際に同様の手順で輝度温度差を求めると, 図2.4下段のような結果が得られた. ここでは, 
MTSAT-1R運用期間中の平均値からGMS-5運用期間中の平均値を差し引いた. 図2.4下段は, 上段・中段と
は明らかに性質が違い, やはり147.5 Eより東側では東に行くほど, 西側では西に行くほど偏差の絶対値
が大きくなるという傾向はない. むしろここに示されているのは, 運用期間の相違による雲活動の経年
的な変化であろう. 同時に, 図2.4下段は, 静止軌道位置の相違による観測誤差は補正されることなくデ
ータに陽に含まれているということを示す重要な証拠であるといえる. 
\subsubsection{GOES-9運用期間中データの補正}
以上, それぞれの衛星間での輝度温度差を求めた結果から, 静止軌道位置の相違による観測誤差が存在
することが示された. よって, それぞれの衛星の観測値を物理的に等価なものとして扱うためには少なく
とも一つの衛星のデータを補正しなければならない. 本研究では, 静止軌道位置が唯一異なるGOES-9%
の観測値を統計的な手法で補正することで, この問題を解決する. 

以下に, 補正値を求める手法を示す. 図2.4上段に示されたGMS-5とGOES-9の観測輝度温度差に関して, 
各経度についての平均値を求める. 図2.4中段に示されたGOES-9とMTSAT-1Rの観測輝度温度差に関して
も同様に平均値を求める. ここで, 前者の経度$x$についての値を$T'_{(1, x)}$, 後者の経度$x$につ
いての値を$T'_{(2,x)}$とする. 次に, それぞれの経度$x$について, 
\begin{align}
  T'_x = \frac{4}{5} T'_{(1,x)} + \frac{1}{5} T'_{(2,x)}
\end{align}
と表される, 経度$x$についてのGOES-9の平均観測輝度温度差$T'_x$を求める. ここで, $T'_{(1, x)}$, 
$T'_{(2, x)}$にそれぞれ4/5, 1/5を掛けて荷重平均したのは, GMS-5の運用期間がMTSAT-1Rの運用期間
よりもおよそ4倍長く, 観測値の誤差として$T'_{(2, x)}$よりも$T'_{(1, x)}$の方が統計的に有意だと
考えられるからである. 得られた$T'_x$の符号を反対にし, これを補正値とする. ここで, センサーの
相違による観測誤差の議論の中で1.0 K未満の観測誤差を無視したのと同様に, $|T'_x| < 1.0$を満たす%
$T'_x$は無視する. また, $|T'_x| \ge 1.0$であっても, 147.5 Eに近いような経度の$T'_x$は, 
静止軌道位置の相違による観測誤差を補正するという目的に合わないので無視する. 以上のようにして
得た補正値を, 表2.5に示す. 

GOES-9の観測値に補正値を与え, 再び衛星間の輝度温度の差を図示したものが図2.5である. 図2.4で見
られたような傾向は存在せず, 偏差の絶対値は最大でも4 K程度である. この偏差は, 観測誤差ではなく
雲活動の経年的な変化を示している. 
%
%
\begin{table}
  \begin{center}
    \begin{quotation}
      \caption[GOES-9の観測値に与える補正値]%
      {%
        \footnotesize{%
          GOES-9の観測値に与える補正値. 左列は経度, 右列は補正値を示す. 絶対値が1.0 K未満, 
          および1.0 K以上であっても放射伝達距離がほとんど変わらない位置の観測値は補正しない. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
    \label{hosei}
    \begin{tabular}{|lc|lc|lc|lc|} \hline
    90 E  & $+5.5$ K & 172 E & $-1.0$ K & 175 W & $-2.4$ K & 162 W & $-4.0$ K \\
    91 E  & $+5.2$ K & 173 E & $-1.1$ K & 174 W & $-2.6$ K & 161 W & $-4.3$ K \\
    92 E  & $+4.8$ K & 174 E & $-1.1$ K & 173 W & $-2.7$ K & 160 W & $-4.5$ K \\
    93 E  & $+4.5$ K & 175 E & $-1.0$ K & 172 W & $-2.8$ K & 159 W & $-4.7$ K \\
    94 E  & $+4.1$ K & 176 E & $-1.2$ K & 171 W & $-3.0$ K & 158 W & $-4.9$ K \\
    95 E  & $+3.9$ K & 177 E & $-1.3$ K & 170 W & $-3.0$ K & 157 W & $-5.0$ K \\
    96 E  & $+3.4$ K & 178 E & $-1.4$ K & 169 W & $-3.2$ K & 156 W & $-5.3$ K \\
    97 E  & $+2.9$ K & 179 E & $-1.4$ K & 168 W & $-3.3$ K & 155 W & $-5.5$ K \\
    98 E  & $+2.4$ K & 180 E & $-1.5$ K & 167 W & $-3.4$ K & 154 W & $-5.8$ K \\
    99 E  & $+2.2$ K & 179 W & $-1.7$ K & 166 W & $-3.4$ K & 153 W & $-6.2$ K \\
    100 E & $+2.0$ K & 178 W & $-1.8$ K & 165 W & $-3.5$ K & 152 W & $-6.6$ K \\
    101 E & $+1.4$ K & 177 W & $-2.0$ K & 164 W & $-3.7$ K & 151 W & $-7.0$ K \\
    102 E & $+1.0$ K & 176 W & $-2.2$ K & 163 W & $-3.9$ K &       &          \\ \hline
    \end{tabular}
  \end{center}
\end{table}
%
%
\begin{figure}
  \begin{center}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 210 160 230 125,clip]{fig/chapter2/GOES-GMS.pdf}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 190 160 230 125,clip]{fig/chapter2/GOES-MTSAT.pdf}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 190 160 170 125,clip]{fig/chapter2/MTSAT-GMS.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[衛星間の観測輝度温度差]%
    {%
      \footnotesize{%
        衛星間の観測輝度温度差. 横軸は緯度, 縦軸は経度で, 各緯度経度の輝度温度差を示す. 
        単位はKである. 図の上段, 中段, 下段はそれぞれ, GMS-5とGOES-9, GOES-9とMTSAT-1R, 
        GMS-5とMTSAT-1Rの観測輝度温度差である. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
  \label{hikaku}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}
  \begin{center}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 210 160 230 125,clip]{fig/chapter2/GOES-GMS_v2.pdf}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 190 160 230 125,clip]{fig/chapter2/GOES-MTSAT_v2.pdf}
	\includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim= 190 160 170 125,clip]{fig/chapter2/MTSAT-GMS.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[補正後の衛星間の観測輝度温度差]%
    {%
      \footnotesize{%
        図2.4と同様の衛星間の観測輝度温度差. ただし, GOES-9の観測値に補正値を与えてある. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
  \label{hikaku2}
\end{figure}
%
\newpage
%
%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 3  解析方法           %%%%%%%%%
\chapter{解析方法}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ 解析方法} % 章の題名を書き込むこと
%
前章では, 本研究に用いたデータの詳細や性質について述べた, また, GOES-9の観測データには
他の衛星との間に静止軌道位置の相違による致命的な誤差が含まれており, 他の衛星の観測デー
タと等価なデータとして扱うためにGOES-9の観測データに補正値を与えたことについても述べた. 
本章では, こうして得られたデータを用いて, どのような方法で解析を行ったのか, また, その
方法が本研究の目的を果たすためにどのように重要であるのかについて述べる. 
%
%
\section{半旬平均によるフィルター}
まず初めに, Murakami and Matsumoto (1994)と同様の方法で, 各緯度・経度に一時間毎に存在す
る衛星の観測輝度温度(以下, $T_{bb}$と称す)を半旬(5日間)毎に平均し, 各緯度・経度に関する
半旬平均輝度温度(以下, $\overline{T_{bb}}$と称す)の時系列データセットを作成した. ただし, 
Murakami and Matsumoto (1994)の方法とは以下のふたつの点で異なる. ひとつは, 本研究では1ヶ
月間を6半旬に分割し, 1年間を73半旬ではなく72半旬とした点である. もうひとつは, 本研究では
隣り合う$\overline{T_{bb}}$を移動平均せずに用いているという点である. 観測データを半旬平
均することによって, 海陸風循環に起因する日周期の雲活動の変動や, 西進慣性重力波の特徴を持
つ準2日周期の雲活動の変動など, 短周期の雲活動の変動をデータから取り除くことができる. 短
周期の変動を取り除くのは, 本研究では数10日以上の長周期の雲活動の変動に着目するためである. 

さらに, 各半旬における$\overline{T_{bb}}$の11年平均値$<\overline{T_{bb}}>$も求めた. 11年
とは, 本研究で用いたデータの全期間である. すなわち, $\overline{T_{bb}}$と$<\overline{T_{%
bb}}>$は, 
%
\begin{align}
  <\overline{T_{bb}}> = \frac{1}{11}\sum^{2006}_{N=1996}\overline{T_{bb}}_N
\end{align}
%
という関係にある. ここで, $\overline{T_{bb}}_N$は, $N$年における$\overline{T_{bb}}$で
ある. このようにして得られた$<\overline{T_{bb}}>$は, 1--72の各半旬に関する1996--2006年
に特徴的な$T_{bb}$を表し, 1年というサイクルの中での雲活動の季節的な変化を示したい場合
などに有用である. 図3.1に, フィリピン諸島(15 N, 120 E), インドネシア南部(10 S, 120 E), 
西太平洋(7 N, 160 E)における$<\overline{T_{bb}}>$の年変化を示す. 図3.1より, フィリピン
諸島, インドネシア南部においては, 年周期の変動が卓越し, どちらも現地の夏季に雲活動が活
発になっていることが分かる. 一方, 西太平洋では年周期の変動は小さく, 一年を通してあま
り$<\overline{T_{bb}}>$は変化しないが, 代わりにある特徴が見られる. 振幅5 K程度の, 一年
間でピークがおよそ14個存在する振動が見られるのである. これは, $<\overline{T_{bb}}>$が, 
1年間のうちに波数14, 振幅5 K程度で振動していることを示唆する. すなわち, 約30日周期, 振
幅5 K程度の変動の存在を示唆する. しかしながら, $<\overline{T_{bb}}>$の年変化は, あらゆ
る周期・振幅の変動の総和としての変動を示しているに過ぎず, その中にどの程度の周期・振幅
の変動が存在するのかということについて客観的・定量的に示すことはできない. すなわち, 本
研究の目的を果たすためには, もっと客観的・定量的な, あらゆる周期の変動から特定の周期の
変動だけを抽出して議論できるような方法が必要である. 

次に, $\overline{T_{bb}}$を時間的に並べ, 赤道周辺緯度(10 N, 5 N, 赤道, 5 S, 10 S)に沿
った雲活動の時間経度変化を表すホフメラー図を図3.2に示す. 雲活動が活発な領域は, 1年とい
う時間スケールに着目すれば夏半球側に存在していることが分かり, より小さな時間スケールに
着目すれば東西に進行するものが多いことが分かる. これらは, 雲活動は階層構造を成して様々
な周期で変動していることを示唆するが, それがどういった周期の変動であるのかを客観的に示
すことはできない. また, 衛星直下点から遠ざかるにつれて観測精度などが変化し得るが, この
図ではそれらの変化は考慮されておらず, 本当に東西に進行しているといえるのかどうかについ
ても客観的に示すことはできない. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,trim=0 0 0 100]{fig/chapter3/15n100e.pdf}
    \includegraphics[width=14cm,trim=0 0 0 100]{fig/chapter3/10s120e.pdf}
    \includegraphics[width=14cm,trim=0 0 0 100]{fig/chapter3/07n160e.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[フィリピン諸島, インドネシア南部, 西太平洋における$<\overline{T_{bb}}>$の年変化]%
    {%
      \footnotesize{%
        フィリピン諸島(15 N, 120 E), インドネシア南部(10 S, 120 E), 西太平洋(7 N, 160 E)に
        おける$<\overline{T_{bb}}>$の年変化. それぞれ, 上段, 中段, 下段に示す. 縦軸は温度, 
        横軸は時間(1--72 半旬)を表す. また, 赤い太線は$<\overline{T_{bb}}>$, 実
        線は$<\overline{T_{bb}}>$の年平均値である. フィリピン諸島とインドネシア南部では年周
        期の変化が見られるが, 西太平洋では見られない. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=12cm,trim=50 180 60 450,clip]{fig/chapter3/2006_10n.pdf}
    \includegraphics[width=12cm,trim=50 180 60 450,clip]{fig/chapter3/2006_05n.pdf}
    \includegraphics[width=12cm,trim=50 180 60 450,clip]{fig/chapter3/2006_00n.pdf}
    \includegraphics[width=12cm,trim=50 180 60 450,clip]{fig/chapter3/2006_05s.pdf}
    \includegraphics[width=12cm,trim=50 180 60 450,clip]{fig/chapter3/2006_10s.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[赤道周辺緯度に沿った雲活動の時間経度変化]%
    {%
      \footnotesize{%
        2006年1～12月における赤道周辺緯度(10 N, 5 N, 赤道, 5 S, 10 S)に沿った雲活動の
        時間経度変化. 上から, 10 N, 5 N, 赤道, 5 S, 10 Sに関するものである. 斜影部は%
        $\overline{T_{bb}}<260$ K を示し, 雲活動の活発な領域である. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\section{スペクトル解析}
前節までで示唆されたような年周期の変動や約30日周期の変動の存在を客観的・定量的に示すた
め, FFT%
\footnote{%
  Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換)の略. 
}%
法によるスペクトル解析を行った. 本節では, 日野(1977)を参考にして, まずはスペクトル
解析に必要な基礎事項について述べ, 次にFFT法によって得られるスペクトルについて述べ
る. その後, 本研究で行ったスペクトル解析の手順について述べる. 
%
\subsection{スペクトル解析に必要な基礎事項}
スペクトル解析とは, 任意の周期関数を特定の周期関数の和として表すことができるという
フーリエ級数表示の理論を応用した, 不規則に変動するデータを構成周波数成分に分解して
各成分の周波数とエネルギーとの関係を取り出すための客観的に確立された定量的な理論及
び手法である. その基本となるものはフーリエ解析であり, その基礎について述べる. 

区間$[-T/2, T/2]$を基本周期とする周期$T$の周期関数$x(t)$を考える. 関数$x(t)$は, 三
角関数の和として
\begin{align}
  x(t) = \frac{a_0}{2} + \sum^{\infty}_{n=1} \left( a_n \cos{\frac{2n \pi t}{T}} +%
  b_n \sin{\frac{2n \pi t}{T}} \right)
\end{align}
と表すことができる. (3.2)の右辺を, 関数$x(t)$のフーリエ級数という. ここで, 係数$a_n, %
b_n$は, それぞれ
\begin{align}
  \begin{split}
    a_n &= \frac{2}{T} \int_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}} x(t) \cos{\frac{2n \pi t}{T}} \ dt %
    \ \ \ \ (n=0, 1, 2, \cdots), \\
    b_n &= \frac{2}{T} \int_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}} x(t) \sin{\frac{2n \pi t}{T}} \ dt %
    \ \ \ \ (n=0, 1, 2, \cdots)
  \end{split}
\end{align}
と表される. (3.2)と(3.3)は, オイラーの関係式
\begin{align}
  e^{\pm i \theta} = \cos{\theta} \pm i \sin{\theta}
\end{align}
を用いると, それぞれ
\begin{align}
  x(t) &= \sum^{\infty}_{-\infty} c_n e^{i2n \pi t/T}, \\
  c_n &= \frac{1}{T} \int^{\frac{T}{2}}_{-\frac{T}{2}} x(t) e^{-i2n \pi t/T} \ dt
\end{align}
と表される. (3.5)の右辺を, 関数$x(t)$の複素フーリエ級数という. ここで, (3.2)に戻って, 
周期$T/n$の波について考えよう. 三角関数の公式を用いると, 
\begin{align}
  \begin{split}
    a_n \cos{\frac{2n \pi t}{T}} + b_n \sin{\frac{2n \pi t}{T}} %
    &= \sqrt{a_n^2+b_n^2} \cos \left( \frac{2n \pi t}{T} - \theta_n \right) \\
    &= {\cal R}eal \ \mbox{\boldmath $X$}_n(t)
  \end{split}
\end{align}
と表せる. ここで, 
\begin{align}
  \mbox{\boldmath $X$}_n(t) &= \sqrt{a_n^2+b_n^2} \ e^{i(2 \pi n t/T - \theta_n)}, \\
  \theta_n &= \tan^{-1}\left(\frac{b_n}{a_n} \right)
\end{align}
である. すなわち, 周期$T/n$の波の振幅は$\sqrt{a_n^2+b_n^2}$, 位相は$\theta_n=\tan^{-%
1}(b_n/a_n)$である. 

以上のように, 周期関数$x(t)$は様々な周期の波の重ね合わせとして表現できる. この議論は, 
周期$T \to \infty$を考えることによって, 周期のない任意関数$x(t)$にも拡張することがで
きる. いま, $f_n=n/T, {\delta}f=1/T$とし, (3.6)を(3.5)に代入した式にこれを代入して%
$T\to\infty$の極限をとると, 
\begin{align}
  x(t) &= \lim_{T \to \infty} \sum^{\infty}_{n=-\infty}%
          \left[ {\delta}f \int^{\frac{T}{2}}_{-\frac{T}{2}} x(t') e^{-i2 \pi f_n t'} \ dt' \right]%
          e^{i2 \pi f_n t}
\end{align}
すなわち
\begin{align}
  x(t) = \int^{\infty}_{-\infty} X(f) e^{i2 \pi f t} \ df
\end{align}
を得る. ここで, 
\begin{align}
  X(f) = \int^{\infty}_{-\infty} x(t) e^{-i2 \pi f t} \ dt
\end{align}
である. (3.11)と(3.12)を, フーリエ積分あるいはフーリエ変換と呼ぶ. これらは互いにフーリエ
変換, 逆フーリエ変換の関係にある. 不規則に変動する時系列データ$d(t_1), d(t_2), \cdots$%
を任意関数$x(t)$上の値$x(t_1), x(t_2), \cdots$とみなすと, その変動は(3.11)のように様々な
周波数$f$の波の重ね合わせとして表される. 逆に, (3.12)を用いて時系列データ$x(t)$%
をフーリエ変換すると, その変動を構成する様々な波がフーリエ成分$X(f)$として抽出される. 
%また, 複素関数$X(f)$を絶対値と偏角により表し
%\begin{align}
%  X(f) = |X(f)|e^{i \theta_f}
%\end{align}
%とおけば, $x(t)$は
さらに, フーリエ成分$X(f)$の自乗$|X(f)|^2$は, その強さ・エネルギーを表す. 有限区間での
周期関数や$[-T/2, T/2]$以外では変動がゼロの関数などの場合には, エネルギー$|X(f)|^2$も有
限と考えられ, エネルギーでスペクトルを定義してよい. しかし周期$T$が無限の場合には, むし
ろ単位時間当たりの平均エネルギーでパワースペクトル密度なるものを定義する. すなわち, 
\begin{align}
  P(f) = \lim_{T \to \infty} \frac{|X(f)|^2}{T}
       = \lim_{T \to \infty} \frac{X(f)X^{*}(f)}{T}
\end{align}
と表すパワースペクトル密度$P(f)$を定義する. ここで, $X^{*}(f)$は$X(f)$の共役複素数
である. $P(f)$を調べることにより, 時系列に含まれる周期成分及びその強さを定量的に調べる
ことができる. 
%
\subsection{FFT法によって得られるスペクトル}
FFT法は, Cooley and Tukey (1965)によって発見された, 時系列データを直接フーリエ変換する
ことによってパワースペクトルを得る, スペクトル解析のひとつの手法である. そのアルゴリズ
ムの詳細はCooley and Tukey (1965)に委ね, ここではFFT法によって得られるスペクトルについ
て述べる. 

ランダム変数$x(t)$のフーリエ変換$X(f)$を, 
\begin{align}
  X(f) = \int^{\infty}_{0} x(t) e^{-i2 \pi f t} \ dt
\end{align}
とおく. すなわち, (3.12)の正の周波数域を考える. このことによって, (3.12)と本質的な違いが
生じるようなことはない. いま, $N$個のデータ$x(j) \ (j=0, 1, 2, \cdots, N-1)$が与えられ
たとき, この有限離散化フーリエ変換を$X(k)$とすると, 
\begin{align}
  \begin{split}
    X(k) &= \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \exp \left[ -i2 \pi \frac{k}{T} %
            j \frac{T}{N} \right] \frac{T}{N} \\
         &= \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \exp \left[ -i2 \pi j \frac{k}{N} \right] %
            \frac{T}{N} \\
         &= \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \left[ \cos \left(2 \pi j \frac{k}{N}\right)
            - i \sin \left(2 \pi j \frac{k}{N} \right) \right] %
            \frac{T}{N} \ \ \ \ (k=0, 1, 2, \cdots, N/2)
  \end{split}
\end{align}
と表される. ここで, $f$は周波数, $k$は波数, $T$はデータ長であり, 
\begin{align}
  \begin{split}
    \delta t &= \frac{T}{N}, \\
    \delta f &= \frac{1}{T}, \\
    t &= j \delta t = j \frac{T}{N}, \\
    f &= k \delta f = \frac{k}{T} = \frac{k}{N \delta t}, \\
    f_N &= \frac{N}{2T} = \frac{1}{2 \delta t} \ \ \ \ (\mathrm{Nyquist}周波数)
  \end{split}
\end{align}
である. なお, 周波数範囲$f$はNyquist周波数$f_N$より小さいという条件より, 波数$k$の範囲
は
\begin{align}
  |k| \le \frac{N}{2}
\end{align}
となる. すなわち, FFTにより求められるフーリエ成分の個数は, 総データ数の半分となる. 

通常, FFTのプログラムでは$\delta t$を省略した演算
\begin{align}
  A_k + i B_k = \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \left[ \cos \left(2 \pi j \frac{k}{N}\right)
               + i \sin \left(2 \pi j \frac{k}{N} \right) \right]
\end{align}
が実行される. したがって, $X(k)=X_r(k)+iX_i(k)$の実部と虚部は, それぞれ$A_k$と$B_k$に
$T/N$あるいは$-T/N$を乗じたものになる. すなわち, 
\begin{align}
  \begin{split}
    X_r(k) &= \frac{T}{N} A_k, \\
    X_i(k) &= -\frac{T}{N} B_k
  \end{split}
\end{align}
となる. よって, (3.13)より, パワースペクトル密度$P(k)$は
\begin{align}
  \begin{split}
    P(k) &= \frac{1}{T} \left[X(k)X^{*}(k)\right] \\
         &= \frac{1}{T} \frac{T^2}{N^2} [A_k^2+B_k^2] \\
         &= \frac{\delta t}{N}[A_k^2+B_k^2]
  \end{split}
\end{align}
となる. また, $x(j)$とフーリエ成分$X(k)$は, 
\begin{align}
  X(k) &= \delta t \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \exp \left[-i2 \pi \frac{kj}{N} \right] %
          \ \ \ \ (k=0, 1, \cdots, N/2-1), \\
  x(j) &= \frac{2}{N \delta t} \sum^{N/2-1}_{k=0} X(k) \exp \left[i2 \pi \frac{jk}{N} \right] %
          \ \ \ \ (j=0, 1, \cdots, N-1)
\end{align}
というフーリエ変換, 逆フーリエ変換の関係にある. (3.22)に(3.19)の関係を適用すると, 
\begin{align}
  x(j) = \frac{2}{N} \sum^{N/2-1}_{k=0} \sqrt{A_k^2+B_k^2} \left[ \cos \left(\frac{2\pi jk}{N}-\theta_k %
         \right) + i \sin \left(\frac{2\pi jk}{N} - \theta_k \right) \right]
\end{align}
を得る. ここで, 
\begin{align}
  \begin{split}
    \cos \theta_k &= \frac{A_k}{\sqrt{A_k^2+B_k^2}}, \\
    \sin \theta_k &= \frac{B_k}{\sqrt{A_k^2+B_k^2}}, \\
    \theta_k &= \tan^{-1} \left( \frac{B_k}{A_k} \right)
  \end{split}
\end{align}
である. すなわち, (3.23)の実部より, $x(j)$を構成する様々な波のうち, 波数$k$の波の振幅%
は$\displaystyle \frac{2}{N} \sqrt{A_k^2+B_k^2}$, 位相は$\displaystyle \theta_k=\tan^%
{-1}\left(\frac{B_k}{A_k}\right)$と表せる. 
%
\subsection{解析手順}
以上の議論を踏まえ, 前節で述べた各緯度・経度の$\overline{T_{bb}}$の時系列データセット
に対して, 以下の手順でスペクトル解析を行った. 
\begin{enumerate}
\item %
  $\overline{T_{bb}}$から11年分の平均値を差し引く. 
\item %
  データ数を2の累乗にするため, データの後部に0データを加える. 
\item %
  データの始め1/10の部分にコサイン型のデータウインドウを掛け, データの端が滑らかに0に
  なるようにする. 
\item %
  FFTによりフーリエ成分$A(k)$を求め, 生のパワースペクトル密度$\tilde{P}(k)$と位相$\theta_k$を
  求める. 
\item %
  隣り合う11個の$\tilde{P}(k)$を移動平均し, 平滑化されたパワースペクトル密度$P(k)$を求める. 
\end{enumerate}
上記の手順について, 以下で詳しく説明する. 

まず, 各緯度・経度に関して時系列に11年分(792個)存在する$\overline{T_{bb}}$から
その平均値を差し引き, 
\begin{align}
  \overline{T_{bb}}'(n) = \overline{T_{bb}}(n) - \frac{1}{792} \sum^{791}_{N=0} %
                          \overline{T_{bb}}(N) \ \ \ \ (n=0, 1, \cdots, 791)
\end{align}
と表される$\overline{T_{bb}}'(n)$を得た. ここで, $\overline{T_{bb}}(n)$は, 792個のう
ちの$n+1$番目の$\overline{T_{bb}}$を指す. 次に, FFT法を用いてスペクトル解析を行うには
データの数を2の累乗にする必要があるので, データの後部に0データを加え, データの数を10%
24個にした. すなわち, 
\begin{align}
  \overline{T_{bb}}'(n) = 0 \ \ \ \ (n=792, 793, \cdots, 1023)
\end{align}
である. こうして作成された$\overline{T_{bb}}'(n) \ (n=0, 1, \cdots, 1023)$は, 終端の
値が0であり, 始端の値は0ではない. スペクトル解析を行う場合, 観測データのような離散
的で有限なデータは無限に続くデータの1周期分とみなされて計算されるので, 両端の値は
一致しなくてはならない. よって, $\overline{T_{bb}}'(0)=\overline{T_{bb}}'(1023)=0$%
となるようにしなくてはならない. そこで, 上記の手順3を行うことにより, この問題を解
決した. すなわち, 
\begin{align}
  W(n) = \begin{cases} \displaystyle
           \frac{1}{2} \left(1-\cos\frac{\pi n}{102}\right) %
           \ \ \ \ & \left(0 \le n \le 102 \right), \\ \\
           1 & \left(102 < n \le 1023\right)
         \end{cases}
\end{align}
と定義されるデータウインドウ$W(n)$を$\overline{T_{bb}}'(n)$に掛けた. このようにし
て作成された$W(n) \overline{T_{bb}}'(n)$を(3.15)の$x(j)$とおき, FFTを行った. ここ
で用いたFFTは, $x(j)$とそのフーリエ変換によって得られるフーリエ成分$A(k)$が
\begin{align}
  A(k) &= \sum^{N-1}_{j=0} x(j) \left[ \cos \left(2 \pi \frac{kj}{N}\right)
               + i \sin \left(2 \pi \frac{kj}{N} \right) \right], \\
  x(j) &= \frac{2}{N} \sum^{N/2-1}_{k=0} A(k) \left[ \cos \left(2 \pi \frac{jk}{N}\right)
               - i \sin \left(2 \pi \frac{jk}{N} \right) \right]
\end{align}
というフーリエ変換, 逆フーリエ変換の関係を満たすように定義されている. ここで, フーリエ成分%
$A(k)=A_k+iB_k$とすれば, (3.28)は(3.18)に一致する. よって, 先の議論で示した(3.20), (3.24)%
をここでもそのまま適用することができ, 波数$k$の波のパワースペクトル密度を(3.20)から, 位相
を(3.24)から得た. 得られたパワースペクトル密度を, 生のパワースペクトル密度$\tilde{P}(k)$%
と呼ぶことにする. すなわち, 
\begin{align}
  \begin{split}
    \tilde{P}(k) &= \frac{\delta t}{N}[A(k)A^{*}(k)] \\
                 &= \frac{\delta t}{N}[A_k^2+B_k^2]
  \end{split}
\end{align}
である. このように呼ぶ理由は, 上記の手順5において$\tilde{P}(k)$を移動平均したものをパワー
スペクトル密度$P(k)$と呼び, これと区別するためである. 生のパワースペクトル密度$\tilde{P}(k)$は, 
元のデータ$\overline{T_{bb}}'(n)$にデータウインドウ$W(n)$を掛けたものから得られたものなの
で, データウインドウを掛けない場合のパワースペクトル密度に比べ$\mu$倍となっている. ここで, 
\begin{align}
  \mu = \frac{1}{N} \int^{N-1}_{0} W^2(n) \ dn
\end{align}
である%
%\footnote{%
%  $\mu$の値を求める演算は多少見栄えが悪いので, 付録1において求める.  
%}%
. よって, 
\begin{align}
  \frac{1}{\mu} \tilde{P}(k) \to \tilde{P}(k)
\end{align}
というように, 結果を修正した. こうして得られた$\tilde{P}(k)$は, 一般に激しい振動を示す. 
これは高周波数のところで特に著しい. 分散の少ないパワースペクトル密度の推定値を求めるた
め, 隣り合う11個の$\tilde{P}(k)$を移動平均し, 平滑化されたパワースペクトル密度$P(k)$を
求めた. すなわち, 
\begin{align}
  P(k) = \frac{1}{11} \sum^{k+5}_{l=k-5} \tilde{P}(l) \ \ \ \ (k=5, 6, \cdots, 1018)
\end{align}
である. 

一方, (3.24)から得られた位相を生の位相$\tilde{\theta}_k$と呼ぶことにする. すなわち, 
\begin{align}
 \tilde{\theta}_k = \tan^{-1} \left( \frac{B_k}{A_k} \right)
\end{align}
である. 生の位相$\tilde{\theta}_k$を与えるフーリエ成分$A(k)=A_k + i B_k$も生のパワース
ペクトル密度$\tilde{P}(k)$と同様に激しい振動を示すので, 隣り合う3個の$A(k)$を移動平均
した後で位相$\theta_k$を求めることとする. すなわち, 
\begin{align}
    \theta_k = \tan^{-1} \left( \frac{\displaystyle \frac{1}{3} \sum^{k+1}_{l=k-1} B_l}%
                {\displaystyle \frac{1}{3} \sum^{k+1}_{l=k-1} A_l} \right) 
             = \tan^{-1} \left( \sum^{k+1}_{l=k-1} \frac{B_l}{A_l} \right)
\end{align}
である. 
%
\subsection{パワースペクトル密度と位相}
現象をありのままとらえる気象衛星の観測データそのものは, 様々な周期の変動の総和として現
れる雲活動の変動を表現しているに過ぎず, それぞれの周期成分の変動に関するいかなる情報に
ついても定量的に表現することはできない. しかしながら, それらのデータをスペクトル解析し
てパワースペクトル密度$P(k)$を得ることによって, 様々な変動の中から波数$k$の変動だけを
抽出し, その変動の強さを定量的に表現できるようになる. また, $P(k)$と同時に位相$\theta_k$%
を得ることによって, 波数$k$の波が極大・極小となる時期を定量的に表現できるようになる. %
3.1節において, 客観的・定量的な, あらゆる周期の変動から特定の周期の変動だけを抽出して
議論できるような方法が必要であると述べたが, スペクトル解析こそ, その必要とされる方法で
ある. 

また, 前章で衛星の位置による観測の違いを補正したとはいえ先に述べた衛星直下点から遠ざか
るにつれて観測精度が変化するという問題を解消できたわけではないが, 各緯度経度のデータを
スペクトル解析し, その結果得られたパワースペクトル密度や位相を地理的に見ることによって, 
この問題を乗り越えられることができる. これは, スペクトル解析を行うことの大きな利点であ
る. 
%
\newpage
%
%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 4  結果               %%%%%%%%%
\chapter{結果}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ 結果}
%
前章までにおいて, 用いたデータの詳細と解析方法・手順について示した. これらの手順で, 
各緯度・経度における2年, 1年, 半年, 1ヶ月周期成分の(それぞれの振動数$k$を7, 14, 28, 
170とした)パワースペクトル密度$P(k)$とその位相$\theta_k$を得た. 本章では, それらの
結果を示す. 以下, それぞれのパワースペクトル密度を$P(7)$, $P(14)$, $P(28)$, $P(170)$と
表し, 位相を$\theta_{7}$, $\theta_{14}$, $\theta_{28}$, $\theta_{170}$と表す. 
%
\section{各地点におけるスペクトル}
まず, 特徴的な地点のスペクトルを図4.1に示す. インドシナ半島(15 N, 100 E)や海洋大陸(0 N, 120 E)で
は1年周期成分が大きい. また, 赤道インド洋(0 N, 90 E)では他の地点に比べ低振動数のスペクトルが大きく, 
季節内変動の寄与が大きいことが示されている. 赤道太平洋(0 N, 160 W)では1年周期成分よりも2--3年周期
成分の方が大きく, 経年変動の寄与が大きい. このように, 各地点ごとのスペクトルはそれぞれ異なる特徴を
もっている. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=11cm,trim=0 0 0 0,clip]{fig/chapter4/psd_4.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[各緯度・経度におけるスペクトル]%
    {%
      \footnotesize{%
        各緯度・経度におけるスペクトル. 赤, 青, 緑, 紫の実線はそれぞれ, 赤道インド洋(0 N, 90 E), 
        インドシナ半島(15 N, 100 E), 海洋大陸(0 N, 120 E), 赤道太平洋(0 N, 160 W)におけるスペクトル
        を示す. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\section{パワースペクトル密度と位相の地理的分布}
次に, パワースペクトル密度と位相の地理的分布を示す. 
まず, 2年, 1年, 半年, 1ヶ月の4つの周期成分を選んだ理由に触れておこう. 2年周期を選
んだのは, 数年周期の変動の強さを調べるためである. 用いたデータが11年分しかないので, 
それ以上の長周期では誤差が大きくなるとして除外した. 1年周期を選んだのは, 他でもな
い1年周期の変動を調べるためである. 半年周期を選んだのは, ITCZの年2回の通過と関係し
て半年周期の変動が大きくなるのかどうかを調べるためである. 1ヶ月周期を選んだのは, 
季節内変動の強さを調べるためである. ここで, 季節内変動は通常30--40日周期や30--60日
周期といった数10日の幅をもった周期の変動として定義されることが多いが, 本研究では30日
周期の変動を季節内変動と呼ぶことにする. 
\subsection{パワースペクトル密度の地理的分布}
パワースペクトル密度$P(k)$が地理的にどのように分布しているのかを, それぞれの周期成
分ごとに図4.2に示す. それぞれの$P(k)$を比較すると, 解析範囲全体の平均としては, 1年
周期成分の$P(14)$が特に大きく, 最大値はおよそ13,000 K$^2 \cdot$pentadに及ぶ. この値
は(3.23)より導かれた振幅に換算すると, およそ7 Kである. これは現実の$\overline{T_{bb}}$%
の時間変動の振幅(たとえば図3.1上段では20 K程度)に比べると小さい. 

それぞれの周期成分の$P(k)$が大きくなる領域を見ていこう. 2年周期成分の$P(7)$は, 6 N--8 Sの
西太平洋, 海洋大陸で大きく, これはエルニーニョの影響が出る領域と整合性がある. 高緯度側ほど
小さくなる傾向が見られ, 15 N以北, 15 S以南ではかなり小さい. 1年周期成分の$P(14)$は, 海洋
大陸南東部, 豪大陸北部, 南シナ海, インドシナ半島及びベンガル湾で大きい. これは, 図4.3に示
すMurakami and Matsumoto (1994)で定義されたモンスーン領域と非常によく一致する. ここで, 本研
究では1996--2006年のデータを用いたのに対し, Murakami and Matsumoto (1994)ではその約20年前
の1970年代後半～1980年代のデータを用いていることに注意されたい. 近年, 地球温暖化が話題にな
っているが, 20年前と今日とでこのように結果が変わらないのは非常に興味深いことである. それ以
外の領域においては$P(14)$は小さく, 赤道付近でも小さい. 半年周期成分の$P(28)$は, ベンガル湾, 
南シナ海, 豪大陸北部で大きい. 赤道では小さく, このことはITCZが赤道をまたがないことを示唆し
ている. 1ヶ月周期成分の$P(170)$は, インド洋東部, 海洋大陸の北東海上で大きく, 季節内変動は
それらの領域でよく見られることを示唆する. また, 海洋大陸, 10 N以北, 10 S以南, 赤道太平洋で
は小さく, それらの領域では季節内変動は見られない. 

以上のことを領域ごとにまとめると, 東南アジア, 豪大陸北部においては半年, 1年周期成分が特徴的
である. ここで特徴的というのは, 他の領域と比べて相対的に$P(k)$が大きいという意味である. 6 N--8 Sの
西太平洋では2年周期成分が特徴的である. 海洋大陸では2年, 1年周期成分が特徴的であり, インド洋では2年, 
1ヶ月周期成分が特徴的である. すなわち, 領域ごとにそれぞれ異なる特徴的な周期成分をもっている. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=230 150 195 108,clip]{fig/chapter4/psd007v2.pdf}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=243 150 195 108,clip]{fig/chapter4/psd014v2.pdf}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=243 150 195 108,clip]{fig/chapter4/psd028v2.pdf}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=243 150 165 108,clip]{fig/chapter4/psd170v2.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[各緯度・経度におけるパワースペクトル密度$P(k)$の地理的分布]%
    {%
      \footnotesize{%
        各緯度・経度におけるパワースペクトル密度$P(k)$の地理的分布. 上から順に, 2年, 1年, 半年, 
        1ヶ月周期成分のパワースペクトル密度(それぞれ, $P(7)$, $P(14)$, $P(28)$, $P(170)$)を示す. 
        単位はK$^2 \cdot$pentadである. 実線は海岸線を示す. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[height=10cm,angle=0,trim=30 250 0 200,clip]{fig/chapter4/monsoon.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[モンスーン領域(Murakami and Matsumoto, 1994)]%
    {%
      \footnotesize{%
        Murakami and Matsumoto (1994)で定義されたモンスーン領域. SEAM (東南アジア夏のモンスーン), 
        WNPM (西部北太平洋夏のモンスーン), NAIM (北オーストラリア・インドネシア夏のモンスーン)領域と
        図4.2の1年周期成分が強い領域とは非常によく一致する. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\subsection{位相の地理的分布}
次に, 位相$\theta_k$の地理的分布を図4.4,5に示す. ここで, 位相$\theta_k$は振動する%
$\overline{T_{bb}}$の極大位相を表し, $\theta_k$は雲活動が不活発である時期を示す. 
同時に, 雲活動が活発である時期の情報も得られることに注意されたい. また, データの
開始点が1月最初の半旬期なので, $\theta_k=0$は1月最初の半旬期に$\overline{T_{bb}}$が
極大になることを表す. 位相$\theta_k$は$2\pi$付近で滑らかにつながらないことに注意されたい. 

ここでは, それぞれの周期成分の位相の特徴を示す. 2年周期成分は, 6 N--8 Sの西太平洋で
は西に伝播するが, 海洋大陸まで伝わるともはや西に伝播しない. 海洋大陸では位相は伝播せず, 
ほぼ同じ位相である. 西太平洋と海洋大陸とでは逆位相を示し, これはエルニーニョの反映である
と考えられる. 1年周期成分は, 海洋大陸においては, 5 N付近を境に南北で逆位相を示す. これ
はITCZが5 Nをまたいで南北変位していることを示唆している. 北側では$\theta_{14} \sim 1.8$, 
南側では$\theta_{14} \sim 0.8$であり, これはすなわち, $\overline{T_{bb}}$が極小となるの
は北側では5月頃, 南側では11月頃であることを示す. 位相の等値線はほぼ緯線に平行であり, 南
北方向に伝播する様子が示されている. 半年周期成分は, 海洋大陸において大きな島とそれ以外の
領域とで逆位相を示すが, これが何を示しているのかについてはよく分からない. 1ヶ月周期成分は, 
東進するスーパークラウドクラスターを想像すれば位相は東向きに伝播することが予想される. 実
際に図4.5から, 海洋大陸ではほぼ同じ位相を示しており位相伝播の様子は見られないが, 海洋大陸
を除いた赤道周辺(およそ5 N--5 S)では90 E から150 W(図では210 degree)にかけて位相が東向きに
伝播している様子が見て取れる. 図4.6に, 赤道--4 Nの各緯度に関する1ヶ月周期成分の位相変化の
様子を示す. インド洋(90 E)からスマトラ島(100 E)にかけて位相は東向きに増加し, 海洋大陸を越
えた西太平洋(160 Eあたり)から再び東向きに位相は増加する. ここで, 90 Eから150 Wにかけて, 位
相はおよそ$0.6\pi$増加する. これは, 今は$2\pi$で1ヶ月なので, およそ1/3ヶ月で東向きに120度
だけ位相が伝播することを意味する. すなわち, 1ヶ月で360度(地球1周)東進するスーパークラウド
クラスターと整合性がある. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=230 150 155 150,clip]{fig/chapter4/pha007v2.pdf}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=243 150 155 150,clip]{fig/chapter4/pha014v2.pdf}
    \includegraphics[height=12cm,angle=-90,trim=387 150 190 150,clip]{fig/chapter4/tonebar.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[2年, 1年周期成分の各緯度・経度における位相$\theta_{7}$, $\theta_{14}$の地理的分布]%
    {%
      \footnotesize{%
        上, 下はそれぞれ, 2年, 1年周期成分の各緯度・経度における位相$\theta_{7}$, 
        $\theta_{14}$の地理的分布. 実線は海岸線を示す. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=230 150 155 150,clip]{fig/chapter4/pha028v2.pdf}
    \includegraphics[height=14cm,angle=-90,trim=243 150 155 150,clip]{fig/chapter4/pha170v2.pdf}
    \includegraphics[height=12cm,angle=-90,trim=387 150 190 150,clip]{fig/chapter4/tonebar.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[半年, 1ヶ月周期成分の各緯度・経度における位相$\theta_{28}$, $\theta_{170}$の地理的分布]%
    {%
      \footnotesize{%
        図4.4と同じ. ただし, 上, 下はそれぞれ半年, 1ヶ月周期成分に関するものであり, 位相はそれぞれ$\theta_{28}$, 
        $\theta_{170}$である. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,angle=0,trim=0 0 0 0,clip]{fig/chapter4/0-4n.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[赤道--4 Nの各緯度に関する1ヶ月周期成分の位相変化]%
    {%
      \footnotesize{%
        赤道--4 Nの各緯度に関する1ヶ月周期成分の位相変化. 海洋大陸周辺(100--160 E)を除いて, 
        位相は東向きに伝播する. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\newpage
\section{雲活動の変動に含まれる各々の周期成分の変動}
4.2節において, 1年周期の変動成分が他の変動成分に比べて平均的に大きいことを示した. 
Murakami and Matsumoto (1994)では, 100 Eでは図1.2(B)のような南北に季節振動するITCZが
示された. 図1.2(B)と同様に, 本研究において定義した$<\overline{T_{bb}}>$の南北季節変化
を図4.7左上に示す. ここでも, $<\overline{T_{bb}}>$の小さい領域は1年周期の南北季節振動
を示し, ITCZは連続的に南北に変位することが示されている. さらに, この変動に含まれる1年, 
半年, 1ヶ月周期成分をそれぞれ厳密に区別して取り出したものを, それぞれ図4.7右上, 左下, 
右下に示す. ここで注意しなければならないのは, $<\overline{T_{bb}}>$は11年分の平均を表
したものであるので, 2年周期成分はほぼ取り除かれているということである. よって2年周期成
分は示さない. 

同様に, 120 Eにおける$<\overline{T_{bb}}>$の南北季節変化を図4.8左上に, その変動に含ま
れる1年, 半年, 1ヶ月のそれぞれの周期成分を, それぞれ図4.8右上, 左下, 右下に示す. ここ
では, ITCZは不連続に夏半球側に現れることが示されている. 

100 Eと120 E共に, $<\overline{T_{bb}}>$の南北季節変化は1年周期成分と似た様相を呈す. 
しかしながら, $<\overline{T_{bb}}>$の変動よりも1年周成分の方が極小となる季節が数ヶ月
程度早く, その振幅は100 Eでは約5.0 K, 120 Eでは約4.0 Kである. また, 100 Eの$<\overline{T_{bb}}>$の
季節変化は5 Nにおいて5--6月と10--11月の2回に極小期を示しているが, 半年周期成分は2月
と8月に極小を示す. さらに, 半年周期成分の振幅は100 Eでは約1.6 K, 120 Eは約1.4 Kとほ
とんど変わらないが, 位相は両者で半周期ほど異なる. 図4.7左上では5 N付近に明らかに1年
に2回の$<\overline{T_{bb}}>$の極小期が見られるが, 図4.8左上では見られない. 半年周期
成分の振幅は100 Eと120 Eとで同じ程度であるが, 実際に1年に2回に極小期を示すのは100 Eだ
けなのである. これらが何を意味するのかについては, 次章で考察する. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \leavevmode
  \begin{center}
    \begin{tabular}{ c c }
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/11y_100e_color.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/an_100e.pdf}
      \\
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/sa_100e.pdf}
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/is_100e.pdf}
    \end{tabular}
    \begin{quotation}
      \caption[100 Eにおける$<\overline{T_{bb}}>$の南北季節変化と各周期成分の緯度--時間断面図]%
      {%
        \footnotesize{%
          100 Eにおける$<\overline{T_{bb}}>$の緯度--時間断面図(左上)と, 各周期成分の緯度--時間断
          面図. 右上, 左下, 右下はそれぞれ1年, 半年, 1ヶ月周期成分を示す. 単位はKで, 等値線間隔は, 
          左上は5 K, 左下は0.2 K, 右上, 右下は0.5 Kである. 各周期成分の緯度--時間断面図では, 負の
          値は$\overline{T_{bb}}$の変動の極小域を示す. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
%    \label{fig:va_100e}
  \end{center}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \leavevmode
  \begin{center}
    \begin{tabular}{ c c }
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/11y_120e_color.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/an_120e.pdf}
      \\
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/sa_120e.pdf}
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter4/is_120e.pdf}
    \end{tabular}
    \begin{quotation}
      \caption[120 Eにおける$<\overline{T_{bb}}>$の南北季節変化と各周期成分の緯度--時間断面図]%
      {%
        \footnotesize{%
          図4.7に同じ. ただし, 120 Eに関するものである. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
%    \label{fig:va_100e}
  \end{center}
\end{figure}
%
\newpage
%
%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 5  考察               %%%%%%%%%
\chapter{考察}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ 考察}
%
前章において, 100 E, 120 Eのそれぞれについて$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化と
それに含まれる様々な周期成分のうち支配的である1年周期成分の季節変化とで極小と
なる季節が数ヶ月程度食い違っていることを示した. また, 100 Eにおける半年周期成
分が極小となる季節は$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化で示される1年に2回の極小期
とは異なっていた. 

また, ITCZの南北変位と対応する1年, 半年周期成分の振幅は, それぞれ, ITCZが連続
的に南北に変位する100 Eでは5.0 K, 1.6 Kであり, ITCZが不連続に夏半球側に現れる%
120 Eでは4.0 K, 1.2 Kであった. 
 
本章では, これらが何を意味するのかについて考察する. 

\section{赤外放射と日射との対応}
まず, ITCZの南北変位に対応する1年, 半年周期成分に関して, 図1.1に示された日射量
と前章で得られた赤外放射の結果を比較する. 

図1.1は, 大気上端が受ける日射量の季節変化を示している. この季節変化は, 地球が
自転軸を約23.4度傾けて公転しているが故に生じるものであり, 厳密に1年周期の成分
であるといえる. 緯度毎にその日射量の変化を見てみると, 日射量の極大が年に1回しかな
く1年周期を示す緯度は約25 Nで, 日射量は約300～450 W m$^{-2}$の間で変動している. 
その変動の平均値である375 W m$^{-2}$に対して, 変位量は
\begin{align}
  375 \left( 1 \pm \frac{75}{375} \right)
\end{align}
と表されるように, $75/375=20 \%$である. また, 日射量の極大が年に2回あり半年周期を
示す緯度は0 N, すなわち赤道で, 日射量は約400～420 W m$^{-2}$の間で変動している. 
その変動の平均値である410 W m$^{-2}$に対して, 変位量は
\begin{align}
  410 \left( 1 \pm \frac{10}{410} \right)
\end{align}
と表されるように, $10/410 \sim 2.4 \%$である. 

次に, 赤外放射の1年および半年周期成分の振幅がどの程度の割合の変位量を示すのかを
見てみよう. 100 Eに関しては, 図4.7左上に示すように, 約15 Nにおいて1年における平
均的な温度は約260 Kである. また, この変動に含まれる1年周期成分の振幅は, 前章で
示したように, 約5.0 Kである. ここで, この振幅5.0 Kが, 赤外放射としてどの程度の
割合であるのかを見積もる. 温度$T$を用いて, 赤外放射量を$I(T)$, 平均温度を$\overline{T}$, 
温度の変位量を$T'$とすると, ステファン・ボルツマンの法則から, 以下の関係が導かれる: 
\begin{align}
  I(T) = \sigma T^4 = \sigma \left( \overline{T} \pm T' \right)^4 \sim %
         \sigma {\overline{T}}^4 \left( 1 \pm 4 \frac{T'}{\overline{T}} \right).
\end{align}
ここで, $\sigma=5.67 \times 10^{-8}$ W m$^{-2}$ K$^{-4}$(ステファン・ボルツマン定数)で
ある. (5.3)に, 100 Eにおける平均温度$\overline{T}=260$ K, 温度の変位量, すなわち1年
周期成分の振幅$T'=5.0$ Kを代入すると, 
\begin{align}
  I(T) \sim \sigma 260^4 \left( 1 \pm \frac{20}{260} \right)
\end{align}
となる. すなわち平均に対して1年周期成分の振幅は$20/260 \sim 7.7 \%$である. 
同様にして, 半年周期成分の振幅1.6 Kに関して, 
\begin{align}
  I(T) \sim \sigma 260^4 \left( 1 \pm \frac{6.4}{260} \right)
\end{align}
となり, $6.4/260 \sim 2.3 \%$である. 120 Eに関しても, 同様の計算をすることによって, 
1年周期成分の振幅4.0 Kに関して$16/260 \sim 6.2 \%$, 半年周期成分の振幅1.2 Kに関し
て$4.8/260 \sim 1.8 \%$という割合が得られる. 

半年周期成分の振幅に関しては, 日射量と赤外放射量はそれぞれ2.4\%, 2.3\%となって
おり, 日射の変化と雲活動の変化がバランスしていることが示唆される. しかし一方, 
1年周期成分の振幅に関しては, 日射量と赤外放射量はそれぞれ20\%, 7.7\%となっており, 
日射量の方がかなり大きい. これはすなわち, 1年周期成分については, 雲活動だけでは
説明できない, 余分な日射量を分散させる別の要因の存在を示唆している. その要因とし
ては, ハドレー循環のように中緯度へ熱を逃がすものなどが考えられるが, 本研究では
そこまで議論を進めることはできない. それを明らかにするには, 循環場を調べ熱輸送が
どのように行われているのかを調べるような, 理論的研究が必要となるだろう. 

\section{様々な周期成分の重ね合わせとしての雲活動}
スペクトル解析によって, $\overline{T_{bb}}$の変動を構成する様々な周期成分の
振幅と位相が得られた. (3.21), (3.22)に示されているように, それらの成分をすべて
重ね合わせれば, 当然の如く元の$\overline{T_{bb}}$の変動を示すだろう. しかし, 
$<\overline{T_{bb}}>$は1年以上と5日以下の周期成分が平均操作によって取り除かれた
ものである. よって, それらを除いた周期成分をすべて重ね合わせれば, ほぼ同じ季節
変化を示すと考えられる. 振幅の小さな周期成分はその寄与も小さいので, 振幅の大き
な周期成分だけを重ね合わせれば十分その兆候が見られるはずである. 

図5.1に, 100 Eの20 N, 15 N, 10 N, 5 N, 赤道, 5 S, 10 S, 15 Sにおけるパワースペ
クトル密度$P(k)$を示す. ここで, 1年以上($k<14$)の長周期成分は上記の理由により, 
2--3ヶ月以下($k>50$)の成分は$P(k)$が小さいという理由により考察の対象としない(大き
いものもあるが, 今はそれらを省いて考える). どの緯度でも, 1年周期付近と半年周期
付近の$P(k)$が他よりも大きいので, 1年周期とその前後の振動数($k=13, 14, 15$), 半年
周期とその前後の振動数($k=27, 28, 29$)の成分を重ね合わせたものを図5.2に示す. これ
らを図4.7右上, 図4.8右上と比べると, 若干ではあるが$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化
を示す図4.7左上, 図4.8左上に近づいた. 100 Eと120 Eの両者において, 1年周期成分が極
小となる季節と$<\overline{T_{bb}}>$の変動が極小となる季節の差は, 重ね合わせるより
前よりも小さくなっている. これは, $k=14$の成分だけでは表現できなかった$<\overline{T_{bb}}>$の
季節変化を, $k=13, 14, 15, 27, 28, 29$の成分を重ね合わせることによってより良く表現
できたということである. このことは, 図5.1に示すすべての振動数の成分をを重ね合わせ
れば, さらに精度良く$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化を表現できることを示唆する. さ
らに, 1年以上と5日以下の周期成分をすべて重ね合わせれば$<\overline{T_{bb}}>$の季節
変化とほぼ同じ変動が見られることは, スペクトル解析の観点から明らかである. よって, 
本章の冒頭で述べた数ヶ月程度のタイムラグは, そうしたすべての周期成分を重ね合わせる
ことで解消される. これはすなわち, 図1.2に示されているような雲活動の季節変化は, 
様々な周期の重ね合わせでもって表現されていることを示唆する. 

一方, 100 Eの5 Nにおいて, 半年周期成分が2月と8月に極小を示すのに対して$<\overline{T_{bb}}>$の
季節変化に見られる極小期は5--6月と10--11月であることも, 同じように説明できる. 
振動数$k=26, 27, 28, 29$の成分を重ね合わせたもの, さらにこれに$k=30$の成分を
加えたもの図5.3に示す. 若干の違いであるが, 5 Nにおける最初の極小期が, $k=30$を
含むと含まないとで1ヶ月程度の違いが見られ, $k=30$を含む方がその時期は早い. これは
一見重ね合わせる成分を増やせば$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化との相違が大きくなる
ことを示唆しているように思えるが, すべての成分を重ね合わせると相違はなくなるはずで
ある. ここで言いたいことは, 重ね合わせる成分を1つ増やすだけで極小を示す季節に1ヶ月
程度の差が生じるということである. すなわち, $<\overline{T_{bb}}>$の季節変化に見
られる1年に2回存在する極小期は, こうしたすべての成分の重ね合わせによって表現されて
いるということである. 

次に, 100 Eと120 Eの半年周期成分に関して考察する. 100 Eでは, $<\overline{T_{bb}}>$の
季節変化は5 N付近において1年に2回の極小期を示している. 一方, 120 Eでは示していない. 
しかしながら, 両者の半年周期成分の振幅がほぼ同じであることが前章で示された. 
この原因を調べるため, まずは図5.3と同様に半年周期周辺の成分のみに着目してそれら
を重ね合わせ, 100 Eと120 Eの相違点を調べることにする. 図5.4に, 120 Eにおける半年周
期周辺の成分を重ね合わせた変動を示す. 図5.4より, 重ねる成分を増やしても, 振幅は
大きくなるが極大・極小の様相は変化しないことが分かる. そして5 Nにおいては, 極大・極
小が逆になっているとはいえ図5.3とほぼ同じ振幅で半年周期成分が現れている. すな
わち, 半年周期周辺の成分のみでは100 Eと120 Eの$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化の
相違点を説明できない. しかしながら, 半年周期成分と1年周期成分をともに重ね合わせた
図5.2においては, 100 Eには示されているような5 N辺りの1年に2回の極小期が, 120 Eには
示されていない. 半年周期周辺の成分だけを重ね合わせても100 Eと120 Eとで違いが見られ
なかったが, さらに1年周期成分も重ね合わせると違いが見られた. このことはすなわち, 
$<\overline{T_{bb}}>$の季節変化は, 一見含まれていないような周期成分や季節内変動も
含めて, 様々な周期成分が重なり合った結果として呈示されたものにすぎないことを示して
いる. 
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \begin{center}
    \includegraphics[width=14cm,angle=0,trim=0 0 0 0,clip]{fig/chapter5/psd_100e.pdf}
    \includegraphics[width=14cm,angle=0,trim=0 0 0 0,clip]{fig/chapter5/psd_120e.pdf}
  \end{center}
  \begin{quotation}
    \caption[100 E, 120 Eにおける振動数$k$のパワースペクトル密度]%
    {%
      \footnotesize{%
        各緯度における振動数$k$のパワースペクトル密度. 上と下はそれぞれ100 E, 120 Eに
        関するもの. 
      }%
    }%
  \end{quotation}
%  \label{fig/hgoehoge}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \leavevmode
  \begin{center}
    \begin{tabular}{ c c }
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to_100e.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to_120e.pdf}
    \end{tabular}
    \begin{quotation}
      \caption[振動数$k=13, 14, 15, 27, 28, 29$の成分を重ね合わせた変動の季節変化]%
      {%
        \footnotesize{%
          振動数$k=13, 14, 15, 27, 28, 29$の成分を重ね合わせた変動の季節変化. 左と右は
          それぞれ100 E, 120 Eに関するもの. 
        }%
      }%
    \end{quotation}
%    \label{fig:va_100e}
  \end{center}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \leavevmode
  \begin{center}
    \begin{tabular}{ c c }
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to4_100e.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to5_100e.pdf}
    \end{tabular}
    \begin{quotation}
      \caption[100 Eにおける振動数$k=26, 27, 28, 29(, 30)$の成分を重ね合わせた変動の季節変化]%
      {%
        \footnotesize{%
          100 Eにおける振動数$k=26, 27, 28, 29(, 30)$の成分を重ね合わせた変動の季節変化. 左は$k=30$を含まず, 
          右は$k=30$を含む.  
        }%
      }%
    \end{quotation}
%    \label{fig:va_100e}
  \end{center}
\end{figure}
%
%
\begin{figure}[htbp]
  \leavevmode
  \begin{center}
    \begin{tabular}{ c c }
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to1_120e.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to3_120e.pdf}
      \\
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to4_120e.pdf} 
      &
      \includegraphics[height=7cm,angle=-90,trim=65 150 70 125,clip]{fig/chapter5/to5_120e.pdf}
    \end{tabular}
    \begin{quotation}
      \caption[120 Eにおける振動数$k=26, 27, 28, 29, 30$の成分を重ね合わせた変動の季節変化]%
      {%
        \footnotesize{%
          120 Eにおける振動数$k=26, 27, 28, 29, 30$の成分を重ね合わせた変動の季節変化. 
          左上は$k=26$のみ, 右上は$k=27, 28, 29$, 左下は$k=26, 27, 28, 29$, 右下%
          は$k=26, 27, 28, 29, 30$の成分の重ね合わせ.  
        }%
      }%
    \end{quotation}
%    \label{fig:va_100e}
  \end{center}
\end{figure}
%
\newpage
%
%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%         Chapter 6  結論               %%%%%%%%%
\chapter{結論}
\markright{第\arabic{chapter}章 \ \ 結論}
%
静止気象衛星GMS-5, GOES-9, MTSAT-1Rの赤外輝度温度観測データのうちGOES-9の
データを補正することによって静止軌道位置の相違により生ずる衛星間観測誤差
を取り除いたデータを半旬平均し, 1996--2006年の11年間における輝度温度の半
旬平均データセットを作成した. このデータセットを用いてFFT法によるスペクト
ル解析を行い, 各緯度・経度における2年, 1年, 半年, 1ヶ月周期成分のパ
ワースペクトル密度と位相を得た. 海洋大陸及び赤道西太平洋におけるパワース
ペクトル密度の地理的分布を調べた結果, 以下のようなことが分かった. 
\begin{itemize}
\item %
海洋大陸及び赤道西太平洋の全体の平均としては, 1年周期成分は他の周期成
分に比べて大きい. 
\item %
2年周期成分は, 海洋大陸と6 N--8 Sの赤道西太平洋で大きく, エルニーニョの影響の出る
領域と整合性がある. 
\item %
1年周期成分は, 海洋大陸南東部, 豪大陸北部, 南シナ海, インドシナ半島, 及びベ
ンガル湾で大きく, これらはMurakami and Matsumoto (1994)で示されたモンスーン領域と
非常によく一致する. 
\item %
半年周期成分は, ベンガル湾, 南シナ海, 豪大陸北部で大きく, 赤道で弱い. このことは, 
ITCZが赤道をまたがないことを示唆する. 
\item %
1ヶ月周期成分は, インド洋東部と海洋大陸の北東で大きい. 海洋大陸では不明瞭だが, 
これらはインド洋から西太平洋にかけての経度で季節内変動がよく見られる地域である. 
\end{itemize}
同様に, 位相の地理的分布を調べた結果, 以下のようなことが分かった. 
\begin{itemize}
\item %
2年周期成分は, 6 N--8 Sの西太平洋から海洋大陸の手前まで西向きに伝播する. 海洋大陸と
西太平洋で逆位相を示し, エルニーニョとの関連が示唆される. 
\item %
1年周期成分は, 海洋大陸においても西太平洋においても南北方向に伝播する. 海洋大陸では5 Nを境に
南北で逆位相を示し, これはITCZが5 Nをまたぐことを示唆する. 
\item %
半年周期成分は, 海洋大陸においては海から陸へ, 豪大陸北部では北東部から北西部へ伝播する. 
\item %
1ヶ月周期成分は, 海洋大陸を除いた赤道周辺緯度帯で東向きに伝播し, 位相速度は
スーパークラウドクラスターの東進速度とほぼ同じである. 
\end{itemize}

また, ITCZの南北変位と対応する1年, 半年周期成分に関して, 日射量と赤外放射量との
対応を調べた結果, 以下のようなことが分かった. 
\begin{itemize}
\item
半年周期成分については, 日射の変化と雲活動はバランスする. 
\item
1年周期成分については, 雲活動だけでは日射の変化とバランスできず, ハドレー循環のように
南北に熱を逃がすメカニズムなどの寄与も重要であることが示唆される. 
\end{itemize}

さらに, パワースペクトル密度から各周期成分の振幅を求め, 100 Eと120 Eに関して雲活動の変動に
含まれる1年, 半年, 1ヶ月周期成分を抽出した結果, 以下のようなことが分かった. 
ここで, 雲活動の変動とは, $<\overline{T_{bb}}>$の季節変化のことである. 
\begin{itemize}
\item %
100 Eと120 Eのどちらに関しても, 雲活動の変動と1年周期成分は似た様相を呈すが, 
極小となる季節は1年周期成分の方が数ヶ月早い.  
\item %
100 Eと120 Eとで半年周期成分の振幅はほぼ同じであるが, ほぼ逆位相である. 
\item %
5 Nにおいて, 100 Eと120 Eとで半年周期成分の振幅はほぼ同じであるが, 雲活動の
変動は100 Eでは1年に2回の極小を示すのに対し, 120 Eでは示さない. 
\end{itemize}
上記のいずれに関しても, パワースペクトル密度の大きないくつかの周期成分を重ね
合わせることによって説明できた. このことはすなわち, 雲活動の変動は, 季節内変動のような
比較的短い周期の成分など一見含まれていないような周期成分も含めて, 様々な周期成分が
重なり合った結果として表現されたものであることを示唆する. 
%
\newpage
%
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%%%%%%%%%              謝辞                     %%%%%%%%%
\chapter*{謝辞}
\addcontentsline{toc}{chapter}{謝辞}
\markright{謝辞}
本研究を進めるにあたり, 神戸大学大学院理学研究科 山中大学 教授には, 多大なる
御指導及び激励を賜りました. 心より深く感謝致します. また, 神戸大学大学院理学
研究科 林祥介 教授, 岩山隆寛 准教授, 荻野慎也 准教授, はしもとじょーじ 助教
には, 本研究に関して有益な意見及び助言を賜りました. 深く感謝致します. さらに, 
神戸大学大学院理学研究科 高橋芳幸 研究員には, 本研究に関する助言を賜っただけ
でなく, 日頃から様々な面倒を見て頂きました. この場を借りて御礼申し上げます. 

神戸大学理学研究科大気海洋科学研究室, 同地球及び惑星大気科学研究室の皆様には
色々と大変に御世話になりました. また, 神戸大学理学部地球惑星科学科の同窓生で
ある瓜生知裕氏, 中嶋俊介氏, 山下徹氏には, ときに各々の研究内容を語り合い互い
に励まし合い, ときにくだらない話をし合い, 研究生活においても私生活においても
非常に有意義且つ心休まる時間を与えてもらいました. 皆様に, 心より感謝致します. 
%
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\newpage
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%%%%%%%%%            参考文献                   %%%%%%%%%
\markright{参考文献}
\addcontentsline{toc}{chapter}{参考文献}
\begin{thebibliography}{99}
\item
Cooley, J.W. and J.W. Tukey, 1965: An Algorithm for the Machine Calculation of 
Complex Fourier Series. {\it Math. Comp.}, {\bf 19}, 297--301. 
\item
Hartmann, D.L., 1994: {\it Global Physical Climatology}. Academic Press, 411pp. 
\item
Hayashi, Y.-Y. and A. Sumi, 1986: The 30--40 Day Oscillations Simulated in an 
``Aqua Planet'' Model. {\it J. Meteor. Soc. Japan}, {\bf 64}, 451--467.
\item
日野幹雄, 1977: スペクトル解析. 朝倉書店, 300pp.
\item
加藤一靖, 1983: 静止気象衛星の画像データによる気象要素の抽出. 気象研究ノート, 
\textbf{148}, 1--102. 
\item
Murakami, T. and J. Matsumoto, 1994: Summer Monsoon over the Asian Continent 
and Western North Pacific. {\it J. Meteor. Soc. Japan}, {\bf 72}, 719--745.
\item
Nakazawa, T., 1988: Tropical Super Clusters within Intraseasonal Variations 
over the Western Pacific. {\it J. Meteor. Soc. Japan}, {\bf 66}, 823--839.
\item
Okamoto, N., M.D. Yamanaka, S.-Y. Ogino, H. Hashiguchi, N. Nishi, T. Sribimawati 
and A. Numaguti, 2003: Seasonal Variations of Tropospheric Wind over Indonesia: 
Comparison between Collected Operational Rawinsonde Data and NCEP Reanalysis for 
1992--99. {\it J. Meteor. Soc. Japan}, {\bf 81}, 829--850. 
\item
Tahara, Y., N. Ohkawara and A. Okuyama, 2004: Intercalibration of the 
Infrared Channels between GMS-5 and GOES-9. {\it Meteorological Satellite 
Center Technical Note}, {\bf 44}, 1--18. 
\item
Tahara, Y. and N. Ohkawara, 2005: Status of MTSAT-1R and Recent Activities 
in MSC. {\it Proceedings of the 2005 EUMETSAT Meteorological Satellite Conference, 
Dubrovnik, Croatia, 19--23 September 2005, EUMETSAT P. 46}, 9--15. 
\item
Takayabu, Y.N., 1994: Large-Scale Cloud Disturbances Associated with Equatorial 
Waves. Part II: Westward-Propagating Inertio-Gravity Waves. {\it J. Meteor. Soc. Japan}, 
{\bf 72}, 451--465. 
\end{thebibliography}
%
%
\end{document}
%%%%%%%%              Text End                  %%%%%%%%
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