\chapter*{Appendix A. 正規分布の重要性とその応用}
\addcontentsline{toc}{chapter}{Appendix A. 正規分布の重要性とその応用}

正規分布は経験的な分布にもしばしば見られる。例えば物理現象、天文現象に
おける測定値の分布、生体測定値の分布、大量生産における品質の変異など、
その若干例である。しかし正規分布の重要さはむしろ理論的にみたときの
確率模型としての一般性に基づいている。正規分布は多くの確率分布模型の
極限形と考えることができる。二項分布、ポアソン分布、超幾何分布などが
そうである。また標本分布の理論模型であるカイ二乗分布や$t$ 分布も
正規分布に対して同様の関係にある。従って正規分布は確率模型として
統計理論で最も基本的なものということができる。

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また、確率変数が互いに独立な多数の確率変数の一次結合であるとき、その
分布は個々の要素変数の分布法則に関係なく正規分布で近似されることが
証明される。中心極限定理がそれである。標本平均値の確率分布が正規分布に
従うのもこの定理に基づいている。平均値だけでなく、標本理論では誤差の
分布法則に関して正規分布は重要な役割を持っている。このため、いろいろな
統計問題の処理にはしばしばこの正規分布を援用しなければならないのである。
