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2 大気モデル

大気は回転系の 2 次元の非弾性方程式系(Ogura and Phllips, 1962)でモデル化 する.


    $\displaystyle \DD{u}{t} -fv = -c_{p}\Theta _{0}\DP{\pi }{x} + D(u),$ (1)
    $\displaystyle \DD{v}{t} + fu = D(v),$ (2)
    $\displaystyle \DD{w}{t} = -c_{p}\Theta _{0}\DP{\pi }{z} +
g\frac{\theta }{\Theta _{0}} + D(w),$ (3)
    $\displaystyle \DP{(\rho _{0}u)}{x} + \DP{(\rho _{0}w)}{z} = 0,$ (4)
    $\displaystyle \DD{\theta }{t} + w\DP{\Theta _{0}}{z}
= \frac{\Theta _{0}}{T_{0}}(Q_{rad}+Q_{dis}) + D(\theta + \Theta _{0}) ,$ (5)
    $\displaystyle \DD{}{t} = \DP{}{t} + u\DP{}{x} + w\DP{}{z}.$  

(1), (2), (3)は運動方 程式, (4)は連続の式, (5)は熱力学の式である. $x,y$ は水平座標, $z,t$ は鉛直および時間座標, $u, v$ は水平風速, $w$ は 鉛直風速, $\theta, \pi $ はそれぞれ温位と無次元圧力関数の基本場からの偏 差である. このモデルでは $y$ 方向に一様な 2 次元場を想定している. $\rho
_{0}, \Theta _{0}, T_{0}$ はそれぞれ基本場の密度と温位, 温度である. $f$ はコリオリパラメータ, $g$ は重力加速度である. $Q_{rad}$ は放射加熱(冷却) であり, 後述の放射過程により与えられる. $Q_{dis}$ は散逸加熱であり, 後 述の乱流モデルから与えられる.

(1)$\sim $(5)式中の $D(\cdot )$ 項は数 値モデルの空間格子間隔以下の乱流による混合の寄与で, 以下のように表される.


\begin{displaymath}
D(\cdot ) = \DP{}{x}\left[ K\DP{(\cdot )}{x} \right] +
\f...
...}{\rho _{0}}\DP{}{z}\left[ \rho _{0}K\DP{(\cdot )}{z} \right].
\end{displaymath} (6)

ここで $K$ は(10), (11)式で計 算される乱流拡散係数である.

無次元圧力関数 $\Pi$ と温位 $\Theta$ は以下の式で定義される.

\begin{displaymath}
\Pi \equiv \left(\frac{p}{P_{00}}\right)^{\kappa } = \Pi _{...
..., \quad
\Pi_{0} = \left(\frac{P_{0}}{P_{00}}\right)^{\kappa }
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
\Theta \equiv T\Pi^{-1} = \Theta _{0} + \theta, \quad
\Theta _{0} = T_{0}\Pi_{0}^{-1}
\end{displaymath}

ここで $p$ は圧力, $P_{0}$ はその基本場の値, $P_{00}$ は参照気圧, $\kappa = R/c_{p}$ である. $c_{p}$ は単位質量あたりの定圧比熱, $R$ は単 位質量あたりの気体定数である. 基本場の温度圧力構造は静水圧の式と理想気体 の状態方程式から計算される.
$\displaystyle \DD{P_{0}}{z}$ $\textstyle =$ $\displaystyle - \rho _{0}g,$ (7)
$\displaystyle P_{0}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \rho _{0}RT_{0}.$ (8)

無次元圧力関数の偏差 $\pi$ は(1)$\sim $([*])式を変形して得られる以下の式から診断される.
$\displaystyle c_{p}\Theta_{0} \left[ \rho _{0}\DP[2]{\pi }{x} + \DP{}{z}
\left( \rho _{0}\DP{\pi }{z} \right) \right]$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{g}{\Theta_{0} }\DP{(\rho _{0}\theta )}{z}$  
    $\displaystyle - \DP{}{x}\left[ \rho _{0}\left
( u\DP{u}{x} + w\DP{u}{z} - D(u) \right) \right]$  
    $\displaystyle - \DP{}{z}\left[ \rho _{0}\left
( u\DP{w}{x} + w\DP{w}{z} - D(w) \right) \right].$ (9)

境界条件

境界条件は $x$ 方向に周期境界条件, 大気下端では $w=0$, 大気上端では応力 なし条件を与える. 大気下端の運動量フラックスと熱フラックスの境界条件は乱 流モデルによって計算される.

パラメータ

大気モデル部分に現れるパラメータの標準設定は以下のようになっている.


表 1: 大気モデルのパラメータ
パラメータ 標準値 備考
$f$ 0 sec${}^{-1}$  
$g$ 3.72 msec${}^{-2}$ 火星の平均値
$P_{00}$ 7 hPa 火星の平均地表気圧
$c_{p}$ 734.9 Jkg${}^{-1}$K${}^{-1}$ CO${}_{2}$ の値
$R$ 189.0 Jkg${}^{-1}$K${}^{-1}$ CO${}_{2}$ の値


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: 3 乱流モデル : Two dimensional anelastic model : 1 deepconv-mars の概要
Odaka Masatsugu 平成19年4月25日