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: 参考文献 : Zalesak(1979) による表現: 2次元 : 計算手順と補正係数の決め方   目次

計算例

実際に式(33)を(19')$\sim $(32')を 用いて計算する. 計算設定は Zalesak(1979) と同様のもの, 初期値の与 え方は Smolarkiewicz(1983) で用いられたもの同様とする.

以上の設定で計算すると, 時間方向に 628 ステップ計算でほぼ一回転する. 計算領域と初期値の分布をFig.7に示す.

図 7: 計算領域と初期値の分布.
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/init-cone.ps}
\end{center} \end{figure}

比較のためまず上流差分スキームを用いて計算を行なった. スキームを 書くと以下のようになる.


$\displaystyle \rho _{i,j}^{n+1}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \rho _{i,j}^{n} -
\{F_{x}(\rho _{i,j}^{n},\rho _{i+1,j}^{n},u_{i+...
...2},j}^{n}) -
F_{x}(\rho _{i-1,j}^{n},\rho _{i,j}^{n},u_{i-\frac{1}{2},j}^{n})\}$  
    $\displaystyle - \{F_{y}(\rho _{i,j}^{n},\rho _{i,j+1}^{n},v_{i,j+\frac{1}{2}}^{n})
- F_{y}(\rho _{i,j-1}^{n},\rho _{i,j}^{n},v_{i,j-\frac{1}{2}}^{n})\}.$ (34')

ここで,

\begin{eqnarray*}
F_{x}(\rho _{i,j}^{n},\rho _{i+1,j}^{n},u_{i+\frac{1}{2},j}^{...
...}{2}}^{n}\vert)\rho _{i,j+1}^{n}]
\frac{\Delta t}{2\Delta y},
\end{eqnarray*}

である. これを時間方向に修正オイラー法(2 次のルンゲクッタ)を用いて 計算した.

1回転後(628ステップ)と3回転後(1884ステップ)後の結果をFig.[*]とFig.9にそれぞれ示す. 上流差分では数値拡散が大きいた め1回転後で既に初期分布は大きく損なわれている. 3回転もすると初期 分布はあとかたもなくなってしまう.

図 8: 上流差分による計算. 1回転(628ステップ)後の結果.
図 9: 上流差分による計算. 3回転(1884ステップ)後の結果.
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/upstream1.ps}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/upstream2.ps}
\end{center} \end{figure}

同様の計算を FCT を用いて行なった. 低次のスキームに上流差分, 高次 のスキームに2次中心差分を用いている. 1回転後(628ステップ)と3回転後 (1884ステップ)後の結果をFig.10とFig.11にそれ ぞれ示す. 全体的に数値拡散は抑えられているが, 山の頂上付近が削られ てしまい clipping が回避できていないことを示している.

図 10: FCT による計算. 1回転(628ステップ)後の結果.
図 11: FCT による計算. 3回転(1884ステップ)後の結果.
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct-exp1.ps}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct-exp2.ps}
\end{center} \end{figure}

続いて初期値分布を変えて同様の計算を行なった. Fig.7で円 錐を置いた所に同じ高さを持つ円筒を置く(Fig.12参照). こ こでも低次のスキームに上流差分,高次のスキームに2次中心差分を用いた. 1回転後(628ステップ)の結果をFig.13に示す. 初期値に円錐 分布を与えた場合と比べ clipping はあまり目立たない.

図 12: 計算領域と初期値の分布. 円筒分布を与えた場合.
図 13: FCT による計算. 1回転(628ステップ)後の結果. 初期値に円筒分布 を与えた場合
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/init-cylind.ps}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct-exp3.ps}
\end{center} \end{figure}


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odakker 平成18年2月13日